「通信販売」の歴史をどれだけ知っていますか 思わず人に話したくなる蘊蓄100章

✎ 1〜 ✎ 27 ✎ 28 ✎ 29 ✎ 最新
拡大
縮小
TV通販にお馴染みの顔として親しまれたジャパネットたかた創業者の高田明氏。今年1月でテレビショッピングのレギュラー出演も終了した(撮影:大塚一仁)
モノ情報誌のパイオニア『モノ・マガジン』(ワールドフォトプレス社)と東洋経済オンラインのコラボ企画。ちょいと一杯に役立つアレコレソレ。「蘊蓄の箪笥」をお届けしよう。
蘊蓄の箪笥とはひとつのモノとコトのストーリーを100個の引き出しに斬った知識の宝庫。モノ・マガジンで長年続く人気連載だ。今回のテーマは「通信販売」。今やインターネットを使えば、買い物に出なくてもかなりのモノが買える。通信販売には今日に至る長い歴史がある。あっという間に身に付く、これぞ究極の知的な暇つぶし。引き出しを覗いたキミはすっかり教養人だ。
この連載の一覧はこちら

01. 通信販売とは小売業の一種で店舗ではなくメディアを利用して商品を展示し通信手段で受注・販売する方法

通販の誕生は19世紀後半の米国

02. 通販の誕生は19世紀後半の米国で、地方の農民たちを対象としたカタログ販売といわれている

03. その元祖とされるのが、1886年当時米国・ミネソタ州の駅員だったリチャード・ウォーレン・シアーズ

04. 19世紀末~20世紀初頭、農業中心だった米国には広大な大地に多くの農民が暮らしていた

05. 鉄道や郵便網は徐々に広がっていたが主な移動手段は馬や馬車で、人々は都市部に出るのも手間だった

06. 容易に都市部に出られない人々は、個人商店や行商人から通常より高い値段で商品を購入するしかなかった

07. そこに着目したシアーズは売れ残りの腕時計を安く買い取ると、通販で安く販売する商売をスタートさせる

08. 時計商アルヴァ・C・ローバックも加わり、1893年にはイリノイ州シカゴに「シアーズ・ローバック」を設立

09. 消費者にカタログを郵送し、一括で仕入れることによって、安価に商品を提供するダイレクトマーケティングを推し進める

10. 初期のカタログには目立つ宣伝文句のみならず、〈満足していただけなければ返金いたします〉と明記

モノ・マガジン3月16日号(2日発売)。特集は『ホビー再起動』『タバコと喫煙具』『漕げ漕げ自転車』『働く鞄』などです。画像をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

11. 〈満足保証〉とも呼ばれるシアーズの良心的で誠実な姿勢が人気を集め、このサービスは後年まで続いた

12. シアーズのカタログは〈消費者の聖書〉とまで呼ばれ、米国中に大量のカタログが頒布された

13. 農村では子どもの絵本や学習帳の代用品として、はてはトイレットペーパーの代わりにも親しまれたという

14. 1908年以降、シアーズは10万棟以上出荷された組み立て式住宅や自社ブランド自動車もカタログ販売する

15. 1925年にはインディアナ州エバンズビルにデパートを開店し、初めて店舗を構えた

16. 1986年には100周年を迎えたが、1993年には大判の総合カタログの発行を停止し、1998年にショッピングサイトを開設

17. 主流はシアーズ伝統のカタログ販売からウェブへと移り、2000年にはついにカタログ販売を終了した

18. 日本で最初に通販が行われたのは1876年。農学者でキリスト教信者でもあった津田仙の手による

19. 津田塾大学の創設者・津田梅子の父でもある仙は1876年東京・麻布に「学農社」を設立

20. 学農社は農産物の栽培・販売・輸入をはじめ農業関連の書籍や雑誌の販売などを事業としていた

次ページ初めて日本で通販されたものとは?
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT