原田泳幸の懐刀は希代のマックバカ

OB・藤本孝博に聞く(上)

大阪のOCから九州の営業部長に異動になった。全国に数十人いる同職の中でも最年少。与えられた課題はぬるま湯につかる同地区に喝を入れることだ。

”ぬるま湯”九州地区をどう変える?

――近畿地方から九州。地方によって違いはありましたか?

藤本孝博(ふじもと・たかひろ)
天ぷら「ふじ好」を展開するTFJ社長。 1964年大阪生まれ。1986年、桃山学院大学卒業後に日本マクドナルドに入社。店長やスーパーバイザーを経て、九州地区や東京地区の営業部長を歴任。2010年5月にマクドナルドを退社し、株式会社TFJを設立。ソフトバンクアカデミア外部1期生。

足かけ2年近く、九州でOMをやりました。九州は競合が少なくて、環境的にはそんな厳しくない。アルバイトの採用もしやすいし、お客さんも高い基準を知らない。

だから、オペレーションスキルは低いし、提供時間は店内もドライブスルーでもすごく遅いんです。「九州の風土は都会と違ってのんびりしている」という感触を持っていました。九州でいちばん提供時間が早い店と、大阪でいちばんダメな店が同じくらいのスピード感のように感じましたね。スーパーバイザーも部長もちゃんと基準を求めていないから、現場が知らないんですよ。デキが悪いんじゃなくて、教えられてないことが問題だったんです。

でもQSC(注:クオリティー、サービス、クレンリネスの頭文字で飲食店の基本姿勢)にはこだわりました。素直な人が多かったからコミュニケーションでちゃんと間合いを詰めて、あるべき姿はこうなんだということを徹底的に提示していくと、目に見えて店はよくなりました。「高いQSCは高いセールスと利益を生む」という原則は当然正しいと思っています。きちんと教えていくうちにQSCがよくなって、日に日に売り上げが伸びていった。どんどん人が育って儲かって、気がつけばものすごい利益。予算比で340%とかそういう店舗もありました。

予算を超過したら、来年も「倍稼げばいい」

――ですが、九州にもマニュアルはあるし、スーパーバイザーもいる。突出しておかしいことはあったのでしょうか。

メニューは同じでも、家賃や人件費が安い。環境も悪くないから売上高がちゃんと出ていれば利益も出ている。当時の上司もそれをわかっていたようで、「九州では、ぬるい環境でやってそこそこ利益出て満足しているが、本当はもっと利益を出せる。それをお前はやってこい」言われました。

これはどこの会社でも言えることだと思いますが、ある年に急に利益が出ると翌年が苦しいから、そこまで売り上げや利益を伸ばそうとしないヤツがでてくるわけです。当時の部下も「ボス、ちょっと緩めないと、来年大変ですよ」と言うから、「来年また倍出すねん」と言って、翌年もさらに伸ばしました。

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