いまや、女性の側に転勤があったときに、「ひとりで赴任するか、辞めるか、夫に仕事を変えてもらって一緒にきてもらうか」と悩むケースも増えてきたように思います。本当に夫婦や家族の形も多様になり、選択肢も多くなりすぎていて、いざその立場になってみると、とても悩ましいことでしょう。
私自身は、夫に転勤という内示が出た経験もなく、すでに独立して自分で仕事をしている彼に「転勤」はもうないだろうと思います。私の周りの仕事を持つ女性を見ると、あなたと同じようにご主人が地方に転勤になったとき、「ついていく」と判断した人は、実はあまりいません。
友人がみんな「仕事が大好き」というタイプかというとまったくそんなこともないですし、かといって「ダンナがいないほうが楽だわ」と言ってしまうタイプも多くありません。子どもの学校、仕事のこと、実家などの環境、自分の居心地、いろいろ考えて話し合い、「とりあえずは単身赴任から始めてみて、それから考えよう」という結論に至り、「とりあえず」のまま3年ほど経ってご主人が戻ってきた、といったパターンも多いです。
自分の進路は「自分で考えて決める」
夫婦や家族は一緒にいるべきだ、というのは、「できるかぎり」という但し書きつきですが、私も同じように考えます。でも、誰かが「涙をのんで」でも一緒にいなければならない、とは思いません。
特に夫婦の場合、結婚して10年も経てば、恋愛時代のような「会いたくてたまらない」「ずっと一緒にいたい」という高い温度の情熱が続いていることは、まれではないでしょうか。それよりは、家庭での役割分担をしてもらえなくなるのが「痛いなぁ」「困るなぁ」といった感情を抱くことのほうが多いかもしれません。
茶化すつもりはありませんが、あなたの純粋なご主人への気持ち、ちょっと懐かしいかも。そして羨ましくもある(笑)。でも、そんなあなたにも、やっぱり、ご主人のために、「涙をのんで」帯同するのはよくよく考えたほうがいいよ、と私はアドバイスしてしまいます。
生きること、働くこと、家族のカタチ、本当にさまざまな価値観が、少しずつですが、多くの人たちに受けとめられるようになってきたと思います。そんな中で、夫婦それぞれが働く環境を変えなければならないとき、その変化は、ポジティブなものもネガティブなことも、自分で選び取ったものも与えられたものも、多種多様でしょう。だからこそやっぱり、相方としては、自分の進路は「自分で考えて決める」ということが、最後はとても重要な気がするのです。
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