あく抜けした「トルコ」は経済回復に向かう 絶妙なバランス国家で起きたクーデター未遂

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④ 大騒ぎした割には犠牲者の数は少ないが

今回犠牲者が出たのは、市民が兵士に逆らい、警察と軍隊が対立したことにあると考えている。今の警察官は、大統領の支持者が大多数であり、必死に大統領からの声明を実行に移したのだ。反乱軍兵士たちを乗せたトラックは群衆に取り囲まれて身動きが取れなくなったうえに、反乱軍のヘリコプターが撃墜されたとのことだ。16日中には首謀者を含む3000人を超える将校や兵士たちが逮捕された。一方、ギュレン派とみなされる約2700人以上の司法関係者たちも更迭された。犠牲者の数が少なかったのはやはり早期解決が成功したためである。かつて、オスマントルコの兵隊は史上最強だと聞いているが、現在のトルコ国民にしてみると、多発するテロに嫌気がさしており一種の厭戦気分が社会を包んでいる。

⑤ 過激集団ISの関与は本当になかったのか

今回のクーデターはISとは関係がないようだ。こういうクーデターを企むには、ある程度の規模と歴史を持つ組織でないと無理だろう。ISは狂信的な小組織で構成されているので自爆テロ以外の組織行動となると困難と思われる。また、トルコでは政教分離が原則なので、ISのような宗教グループはトルコ軍には所属できない。

主要3党の対立は懸念材料になる

軍部内の規律は厳しい。たとえばヒゲを剃り、礼拝まで止めないといけないので敬虔なイスラム教信者にとっては無理である。トルコ軍は共和人民党(CHP)が支配しているが軍の上層部はエルドアンや与党AKP(公正発展党)とも良好な関係にある。一方のギュレンも軍部の一部を構成しており勢力を伸ばしたいという思惑は強かったようだ。公正発展党(AKP)は中道右派の保守政党でイスラム主義政党である。党首だったエルドアンは2014年8月の直接選挙で大統領に就任したため、アフメット氏を経て現在はビナリ・ユルドゥルム氏が首相・党首に就任している。

⑥ 今後のトルコ政情はどうなる

クーデターが起きた直後に、公正発展党(AKP)、共和人民党(CHP)そして民族主義者行動党(MHP)がクーデターを認めていないことを議会にて発表し、その後すぐにニュースでトルコ国民に伝えられた。今までこの主要三党が一致団結することはなかったので今後のトルコの政治と経済の安定のためには良いことである。しかし、世論がクーデターを企んでいた士官などの死刑を求めていることで、主要3党の対立の可能性が出てくるという見方もある。トルコはEU加盟のために死刑制度を廃止したが、死刑制度の再導入が仮に決定するとEUへの加盟は白紙に戻る。政局に対する影響は極めて大きいだろう。

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