甲子園球児を支えるホテルの「超絶サービス」

なぜ「儲け度外視」で宿泊させるのか?

こうした費用を軽減するため、高野連は大会参加校に対し、登録選手18人と監督および部長の計20人分の旅費と滞在費(1日4000円)を補助する決まりになっている。しかし、それ以外の費用はすべて持ち出しとなる。

高校野球大会はあくまで学校の自主参加による活動であって高校総体のような官製イベントではないため、その費用を校費で賄うことはできない。したがって、当事者である選手の保護者の負担や野球部OBなどからの寄付に頼ることになる。そうなると、経済力の差が問題となってくるだろう。

「損」も覚悟の超絶サービスとは?

超絶サービス1:宿泊費は、なんと「相場の半額」

裕福な家庭の子どもが多い野球部ならば保護者も負担を厭わず、寄付も多く集まり、選手たちは豪華な宿舎に美味しい食事と快適な滞在生活を送れるだろう。一方、県民所得がさほど高くない自治体の公立校が出場する際には、保護者に滞在費負担をさせるのはあまりに厳しく、勢い地元住民らの寄付に頼らざるをえなくなる。

実際、沖縄の県大会が全国に先駆けて早く始まる理由は、梅雨明けが早いという気象条件によるところもあるが、より現実的な理由は、大会参加の費用を賄う寄付集めに時間を要することから、早く代表校を決定する必要があるためだという。しかし、教育の一環として実施される高校野球の全国大会で、学校や都道府県の経済力の差が選手たちの待遇面で表面化するのは望ましいとは言えない。

そのため、高野連は代表校が宿泊予定とするホテルや旅館に対し、35名上限で1泊2食付き1万円、昼食代1000円以内に収めるよう依頼している。後ほど述べるように、訪日外国人観光客が増加してホテル需給が逼迫している今、これは相場の半額程度の低価格だ。

このとき、旅行社が間に入ると手数料がかかるため、宿舎とは高野連が直接交渉する。また、高野連は野球部OBや在阪の後援者たちが宿舎に食べ物などの差し入れをすることも禁じている。

その理由は時節柄、食中毒を防ぐという意味もあるが、高校生たちの食卓が商品の宣伝に使われたり、そこに黒毛和牛や大トロなど華美な食材が並んだりするのは好ましくないという高野連の判断だ。実際、差し入れなどをすれば、1万円という金額で何とか選手たちに喜んでもらえる食事を提供しようと頑張っている宿舎サイドにも失礼という考えもある。

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