ニース事件は過激派と無縁の大量殺人だった 現地ルポ、革命記念日に起きた惨事の真相

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現場付近のビーチにはヴァカンスで多くの人々が繰り出している©Kiyori Ueno

パリ市内の小学校で教員をするクリスティーナさんは、両親が44年前にポルトガルからフランスに来た。クリスティーナさんは今回のテロに対して、「宗教とは関係なく、狂人がやったことだ」と強く非難する一方で、一般的にムスリムの移民に対して同情する、という。

「私や両親はフランスと同じカトリックであり、言語も見かけも近い。けれどもムスリムは全く違う。フランスで生まれた私でさえ、いまだにサッカーの試合の時などの際に『ポルトガルを応援しないのか』などと言われるほどフランスは人を区別する。ムスリムはもっと大変だろう」

「ムスリムは平和の宗教だ」

「プロムナード・デ・ザングレ」では、フランス国旗の半旗が掲げられている©Kiyori Ueno

テロの現場付近の追悼場所では、ヒジャブを頭にかぶったムスリムの女性がカトリック教徒の女性と抱き合い、涙を流す姿が見られた。テロの現場に居合わせたというアルジェリア出身の51歳のラリア・メッキさんは犠牲者追悼のために娘と訪れていた。

黒いヒジャブ姿のメッキさんは、「今回のテロはムスリムがやったという人もいるが、それは違う。ムスリムは平和の宗教だ。このようなことをする人物は決して許されない」と言った。

やはり現場にいた、ニース出身で在住の56歳のミレイユ・ラソヌーさんは、「私は自分の国、そしてニースを愛している。このような事件に胸が引き裂かれる思いだ。でも、私たちフランスの理念は壊れていない。私たちはそのためにいつまでも立ち上がり続ける」と話した。

上野 きより ジャーナリスト、元国連職員

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うえの きより / Kiyori Ueno

ブルームバーグ・ニュース東京支局、信濃毎日新聞社などで記者として働いた後、国連世界食糧計画(WFP)のローマ本部、エチオピア、ネパールで働き、食糧支援に携わる。2016年から独立。慶應義塾大学卒業、米国コロンビア大学院修士課程修了。東京出身

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