原油価格のこと、本当に知っていますか? 知ったかぶりしがちな原油の謎を徹底解説
エネルギー問題を分かりやすく解説し、「エネルギー界の池上彰」と称される岩瀬昇さんが新書『原油暴落の謎を解く 』を出した。今回のテーマは原油価格。価格をキーワードに石油産業の歴史と現状を紐解く。
原油価格の暴落、サウジの真意は?
石油産業が始まって以来、原油価格がどのように決められてきたのか、過去の大暴落の歴史はどうだったのか、そもそも価格を決定する要因は何か、あるいは現在の価格はどのような仕組みで決まっているのかなど、一見専門的な内容を素人にも分かりやすい言葉で解説している。
ガソリン、ジェット燃料、ペットボトル、プラスチック、アスファルト、化粧品、チューインガム、レジ袋。一見、何の関わりも無さそうだが、これら全て石油を原料としている。様々な場面で活用され、私たちの生活の基盤となっている原料はどのように価格づけされているのか。
2014年後半から下落し始めた原油価格。高値で推移していた頃の1/3以下までに一時価格は下落した。今回の原油価格大暴落の引き金となったのは、2014年末に開催された産油国グループOPECの会合。世界的に原油の供給過剰状態にあったものの、サウジアラビアを筆頭とするOPEC諸国は原油供給量を減らさないことを決めた。その結果、アンバランスな需給環境が当面続くとの考えが大勢を占め、原油価格は大暴落していった。
この価格暴落について、原油収入に頼るロシアとイランを弱らせるためにサウジとアメリカが裏で仕組んだという説があるが、著者は一刀両断する。サウジ石油相(当時)の発言を引用しながらサウジの真の狙いを解説。深海油田やシェールオイルなどコスト競争力のない原油をマーケットから淘汰し、コスト競争力あるサウジ産原油のマーケットシェアを向上させることが真意だったようだ。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら