原油価格のこと、本当に知っていますか?

知ったかぶりしがちな原油の謎を徹底解説

原油価格は一部の中東産油国と欧米の大手石油会社が裏で取引して決めているとのメディアの誤解にもメスを入れる。サウジ含め産油国が販売する原油価格は先物価格に連動するフォーミュラ方式。そしてその先物価格は市場取引に基づいて決められている。原油先物市場での取引数量は膨大であり、長期間に亘って少数者の思惑で相場操作するのは実質不可能だ。

このように、エネルギーの問題になると、陰謀論じみた報道や偏った解説がいまだにされている日本。本書読了後に日本のエネルギー報道をみれば、その違和感を実感できるだろう。

リアルなビジネス目線の話が豊富

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「素人にも判りやすく」が本書の最大のウリだが、リアルなビジネス目線の話が豊富なのも特徴の一つである。オイル・トレーダーたちの原油価格に対する判断根拠や、中小シェール事業者による資金調達方法など、なかなか専門家以外には見えにくいビジネスの現場を垣間みることができる。

一般的に油田開発はハイリスク・ハイリターンな事業。ゆえに外部金融には依存せずに手元資金で事業運営するのがこれまでの常識だった。ところが、金融大国アメリカでは、中小ベンチャー企業が気軽に融資を受けたり社債を発行したりできる環境が整っており、外部金融に依存した油田開発が可能な特殊な環境がある。

これが、アメリカでのシェール革命を後押ししたと同時に、原油価格が下落するとすぐに債務不履行となり倒産する企業が多発する理由となっている。サブプライムローン問題を彷彿させるような仕組みだ。

本書を読み込んでいて改めて感じるが著者の「判りやすさ」。エネルギー分野というと、専門的かつ流動的で理解しにくい分野の一つであるが、著者は自らの元商社マンとしての修羅場体験も織り交ぜながら丁寧に説明し、見事、専門家と素人の橋渡し役という役割を果たしている。

最近では、都心の本屋だけでなく地方の本屋でも著者の本が平積みされているほどの盛況ぶり。岩瀬昇さんというエネルギー界の池上彰の登場で、日本のエネルギーリテラシーは着実に高まってきている。 
 

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