女子がなぜか集まってくる「西荻窪」の引力 秘密は体育会系気質ゼロのユルさ
住みたい街ランキングの常連・吉祥寺の隣に位置する西荻窪。都内にある中央線沿線の駅の中では乗降客数が4万4000人弱強と少なく、スターバックスさえないコンパクトな街だが、近年は特に女性を中心に人気を集めている。2015年3月には女性誌『Hanako』が吉祥寺と併せて西荻窪の特集記事を掲載したほか、5月には『散歩の達人』でも特集として取り上げられた。
ガツガツしないユルい雰囲気
西荻窪に多いものといえば、カフェ・喫茶店に雑貨店、パン屋、アンティークショップ、古書店、そして日本初の海南チキンライスの店からパイナップルラーメンなどという変わった味までがそろうハイレベルで多種多様な飲食店。だが、西荻窪の魅力はそこにとどまらない。
「街全体にガツガツしないユルい雰囲気があり、そこから生まれるフラットでつかず離れずの人間関係が居心地の良さにつながっているのでしょう」と、西荻窪で飲食と鍼灸を中心にした店舗のほか、西荻窪に住みたい人を街に月一で案内する西荻ニクラス不動産を営む福田倫和氏は話す。「フットワークの軽い人が多く、面白そうとなると、多くの人が参加して、収益を無視したイベントを開いてしまう街なんです」。
ユルさの大きな要因の1つは賃料にある。西荻窪は交通利便性で中央線のほかの駅に大きく水をあけられていることに加え、大規模開発も行われてこなかった。このため、吉祥寺や中野ではほとんどない20m2以下などコンパクトかつ駅から数分以内の物件が(多少古くはあるが)、月10万~13万円前後から借りられる。福田氏自身も吉祥寺や荻窪では出店できないと判断し、商店街の中の元金物屋だった築50年の建物を改装、開業した。家賃が安ければガツガツ稼がなくてもやっていけるので、客と向かいあう時間が作れるという判断である。
また、周辺には富裕な住民のための住宅地が集積しており、商品が気に入れば高額な商品でも買える層が少なくないことも、街のユルさを支えている。そうした人たちが数多い個人商店や街のイベントなどを後押ししているのだ。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら