40年前の「日本研究本」に中国人が群がるワケ

なぜ今になって「爆売れ」?仕掛け人を直撃

どこかの日本専門家が適当に書いた浅い日本紹介本かと思いきや、なんと紛れもなく、自分が学生だったころに世の中を騒がしていたあの『ジャパン・アズ・ナンバーワン』だった。手に取ってみると、今年4月に出版されたばかりだという。そして、著者のボーゲル氏本人が新たにコメントを寄せているので、さらにびっくりした。

そこには、こう書かれている。

「かつてこの本が出版されたとき、シンガポールや台湾、韓国、中国の読者は日本の経験を参考にして、自らの現代化の助けにしようとした。35年後のいまも、人々はこの本が人々に自分の国家をどう改善すればいいか考える手助けになっている」

またボーゲル氏は、日本はその後バブル経済の破綻によって成長のスピードは落ち込んだものの、「日本には、いまも学ぶべきところがある」として、日本の所得格差の少なさや政治が比較的クリーンなところ、健康保険の普及、犯罪率の低さ、人々の礼儀の正しさ、生活環境の清潔さなどを挙げている。

「内容そのものは決して古くなっていない」

上海訳文には、私も本を出したことがある関係で知り合いが何人かいるので、スムーズに担当編集者にアクセスすることができ、中国のSNSアプリ「微信(wechat)」で日本から取材させてもらった。

編集者によると、同書は4月に初版1万5000部でスタートしてすぐに売り切れ、現在すでに3回増刷を重ねて4万部を発行しており、さらに7000部を増刷しているという。中国の書籍の市場規模は、日本に比べて人口は圧倒的に多いものの、実際のところは日本の2〜3倍ぐらいの感覚で考えればいい。その意味でも、相当のヒット作だと言うことができる。

編集者は、今回の『ジャパン・アズ・ナンバーワン』ヒットの理由をこう読み解いた。

「40年近く前の日本のことを書いていますが、内容そのものは決して古くなっていないので、出版を決定しました。この本のもとのサブタイトルは『米国への教訓』でしたが、現代の中国人にとっても読む意義のあるものだと考えたからです」

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