野嶋:矢野さんといえば、中国での芸能活動がすでに15年を超えている中、これからは日本の芸能事務所・オスカーに所属し、日本での活動にも力を入れるそうですが、心境はどういうものでしょうか。
矢野:日本での活動は、自分自身、中国に行く前からずっと願っていたことで、最初に役者になると決意したときからの目標です。縁があって2001年から中国で生活し、外から客観的に日本を見てきました。中国人の友人にも日本の映画やドラマに関心のある人は多く、日本でも仕事をしたいという思いがどんどん強くなっていたことが大きいですね。
加えて、ここ5、6年、俳優の仕事以外で日中交流に関わらせてもらい、日本と中国の交流の大切さも考えるようになりました。いままでは中国の方々にメッセージを発信してきましたが、本当の意味で、日中の架け橋やパイプという役割を少しでも担っていくには、日本でも発信しないといけない。そういう思いも強くなりました。
日本人の「心に触れたい」中国人
野嶋:中国の人々の日本への理解について、どこに実際の日本の姿との違いがあると思いますか。
矢野:一概にどうとは言えませんが、いま中国から日本に旅行に来てくれる人たちがたくさんいることは、中国人の「日本観」に確実に影響している。ぼくたちが日中友好と唱えるより、観光で来て「日本は素敵だ」と思ってくれるのが何よりかと思います。
買い物も日本への信用があってのことですが、日本人の精神に触れたいという思いがある人も少なくありません。日本のおもてなしや礼儀を目の当たりにして、「すごい、こんなの見たことない」と感動したり、道に迷ったら丁寧に助けてもらったりして、日本人の精神はすごいなと感じる。そういった日本人の心に触れたいという思いがあるんです。
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