中国で引っ張りだこの日本人俳優が見た現実 現地の映画・ドラマ50作品に出演、16年の軌跡

✎ 1〜 ✎ 31 ✎ 32 ✎ 33 ✎ 最新
拡大
縮小
中国で大人気の日本人俳優・矢野浩二をご存じですか?(提供:オスカープロモーション)
俳優・矢野浩二。中国で約50の映画やドラマに出演、バラエティもこなす、現代の日本人として最も知名度の高い一人だ。昨年は日本の外務大臣表彰も受け、今後は日本での活動にも注力していくという。「日中友好」の次の時代を芸能の面から支えた男が、16年間の現地生活で培った「仕事観」とは。

 

野嶋:矢野さんといえば、中国での芸能活動がすでに15年を超えている中、これからは日本の芸能事務所・オスカーに所属し、日本での活動にも力を入れるそうですが、心境はどういうものでしょうか。

矢野:日本での活動は、自分自身、中国に行く前からずっと願っていたことで、最初に役者になると決意したときからの目標です。縁があって2001年から中国で生活し、外から客観的に日本を見てきました。中国人の友人にも日本の映画やドラマに関心のある人は多く、日本でも仕事をしたいという思いがどんどん強くなっていたことが大きいですね。

加えて、ここ5、6年、俳優の仕事以外で日中交流に関わらせてもらい、日本と中国の交流の大切さも考えるようになりました。いままでは中国の方々にメッセージを発信してきましたが、本当の意味で、日中の架け橋やパイプという役割を少しでも担っていくには、日本でも発信しないといけない。そういう思いも強くなりました。

日本人の「心に触れたい」中国人

野嶋:中国の人々の日本への理解について、どこに実際の日本の姿との違いがあると思いますか。

矢野:一概にどうとは言えませんが、いま中国から日本に旅行に来てくれる人たちがたくさんいることは、中国人の「日本観」に確実に影響している。ぼくたちが日中友好と唱えるより、観光で来て「日本は素敵だ」と思ってくれるのが何よりかと思います。

買い物も日本への信用があってのことですが、日本人の精神に触れたいという思いがある人も少なくありません。日本のおもてなしや礼儀を目の当たりにして、「すごい、こんなの見たことない」と感動したり、道に迷ったら丁寧に助けてもらったりして、日本人の精神はすごいなと感じる。そういった日本人の心に触れたいという思いがあるんです。

次ページ日中関係しだいで、仕事も山あり谷あり
関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT