財産が300万円でも、遺言書を書いてもらう

必ずもめる相続税の話(3)

自宅は法定相続分では分けられない

遺言書の問題を、少しでも親に「自分ごと」としてとらえてもらえたら、その後は、子どもの個人的な「感情」ではなく、法律や税金などの銭「勘定」から懸念する点を、親に話してみてはどうでしょう。

 たとえば、遺言書がなかったら、親の自宅を特定の人には残せません。

ここで長男が、長年両親と同居をしていて、介護を引き受け、自宅で親を看取ったというケースを考えてみましょう。このケースの場合、長年同居をしていたことなどから、長男だけが親の自宅を相続できるわけではないのです。相続人の全員に、「法定相続分」を相続する権利があるからです。

財産の分け方には、一般的には次の4つの方法がありますが、このうちのいずれかの方法で、自宅を「法定相続分」通りに分けられるか、親自身に考えてもらいます。

(1)「現物分割」

財産をそのままの形で分ける一般的な方法ですが、財産が自宅だけでは分けられません。

(2)「代償分割」

たとえば長男が自宅を相続する代わりに、他の兄弟に自分の持っているお金から、もらいすぎた分を渡す方法ですが、長男がそれだけのお金を持っていなければなりません。

(3)「換価分割」

財産を売って、その売却代金を分ける方法です。長男が住んでいる自宅は売れません。

(4)「共有」

一つの財産を持分という割合で、複数の人が一緒に持ち合う方法です。売却や取壊しには、共有者全員の同意が必要になるので、避けるのが賢明です。

これらの方法で、自宅を法定相続分通りに分けられないのなら、必ず遺言書が必要です。

次ページ法定相続分通りに分けられないのなら、遺言書が必要  
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