財産が300万円でも、遺言書を書いてもらう 必ずもめる相続税の話(3)

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税理士の福田真弓と申します。『必ずもめる相続税の話』(小社刊)より、最終回(第3回)は、「親に遺言書を書いてもらうには」です(第1回第2回もご覧下さい)。

財産が10億円ある人でも300万円の人でも、絶対に遺言書は必要です。
 そのことを子どもは分かっているのに、親は気づかないふりをしているから、あとで問題が生じるのです。「うちに限ってもめるわけがない」「好きに分ければいい」「借金はないから大丈夫」「まだ早い」「縁起が悪い」など、遺言書を「書かない理由」なら、数限りなくあるでしょう。

そこで、親の立場に立って、遺言書を「書くべき理由」を考えてみました。

遺言書とは「生前の親自身の取り分」を決めること

「財産分けでもめる」とか「相続税が大変そうだ」と言われても、親にとっては少なくとも、それは自分が死んだ後の話です。

この「他人ごと(自分が死んだ後のこと)」を、親に、どう「自分ごと(自分が安心して生きて行くための方針決定)」としてとらえてもらうかが、最大のポイントです。

なぜなら、遺言書を書いたからといって、明日、親が死ぬわけではないからです。まだ当分、死なない予定だからこそ、「老後の生活費はどのくらいかかるのか」「どこで誰と暮らすのか」「病気や要介護状態になったら、誰の手を借りるのか」など、財産を持つ父、そして後に残される母の今後のライフプランと、そのために必要な資金についての方向性について考えてもらう必要があります。

次ページ親に「遺言書を書くことが大切」とわかってもらえるか
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