米国の長期金利上昇、「春の嵐」再燃も 1月のFOMCは景気判断を前進させる(Fedウォッチャー)

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中央銀行の損益は、主に通貨発行に伴うコストと保有資産が生み出す収益の差によって決まる。これは広い意味で通貨発行益(シニョレッジ)と呼ばれる。FRBの場合、通貨はドル紙幣と準備預金に分けられ、2012年に追加発行されたドル紙幣の印刷コストは12億ドル(額面でみたドル紙幣の年間純増額は約900億ドルなので印刷コストは1.3%)、準備預金は39億ドル(≒平均残高1.5兆ドル×準備預金金利0.25%)だった。

一方、保有資産が生み出した収益は証券ポートフォリオだけで805億ドルにのぼる。証券ポートフォリオの平均残高は2.7兆ドルなのでその平均収益率は3%となる。なお、この計算にはツイストオペによる米国債の売却益や、金融危機の際に設立されたファンドからの収益は含んでいない。

証券ポートフォリオが生み出す巨額の収益によって、FRBは2012年に910億ドルの純利益を生み出している。そして法定配当と準備金の積み立てを控除した残額889億ドルが米国財務省に納付された。なお、FRBの株主は連邦準備制度加盟銀行であり、配当額は加盟銀行の払込済資本金額に6%を乗じた額、準備金は払込済資本金と同額まで積み立てられることが連邦準備法に定められている。

損益分岐点の準備預金金利は5.2%

FRBの損益の決定式を書いてみると

FRBの損益≒証券ポートフォリオ残高×3%―(ドル紙幣純増分×1.3%+準備預金残高×準備預金金利)

となる。右辺がゼロとなるための「損益分岐点の準備預金金利」は12年時点で5.2%である(ざっくりとした計算であることをご了承願いたい)。無論、現時点ではそんな利上げは考えられないため、FRBが損失を被る蓋然性は当面は極めて低い。

しかし、時間が経てば話は違ってくる。たとえば今後、証券ポートフォリオを2兆ドル増やすとしよう(準備預金も同額増える)。ちなみに2兆ドルの追加購入というのは、2014年末まで現在のペースで証券購入を続けることにほぼ等しい。

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