米国の長期金利上昇、「春の嵐」再燃も

1月のFOMCは景気判断を前進させる(Fedウォッチャー)

2兆ドルの購入の後、しばらくは証券ポートフォリオの残高が維持されるが、いずれは証券ポートフォリオを縮小させ始め、再び2012年の水準まで戻すときがくるだろう。証券ポートフォリオ残高が2012年の水準に再び戻るその時点をT年とすれば、T年における損益分岐点の準備預金金利はやはり5.2%である。ここで先ほど計算した現時点の損益分岐点の水準と同じ、と安心してはいけない。

FRBは出口戦略として、証券ポートフォリオの縮小を図るよりも早い段階で利上げを開始し、金融政策を正常化していく方針だ。利上げを始めても大丈夫なほど米国景気は回復しているのである。そうすると、T年における政策金利(FF金利)は0.25%などではありえず、準備預金金利もFF金利と共に相当程度上昇していると考えるのが自然だ。T年の準備預金金利がたとえば5.5%なら、FRBは損失を抱えるのである。

このように、米国経済の回復ペースを丹念に見極め、追加的な量的緩和の度合いを決めていかないと、将来利上げを進める過程で損失が発生するおそれがあるわけだ。

損失回避へ利上げ躊躇ならインフレ、バブルの恐れ

財務基盤の頑強さが中央銀行にとって重要なのかどうかというのは、日本では2000年代前半に議論された話題だ。米国でもほぼ10年遅れで議論を始める段階にきたようだ。果たして中央銀行が生み出す損失はどれほど深刻な問題なのだろうか。ドル(日本なら円)への信認は失われるのか。むしろ、そのような損失を回避するために利上げを躊躇し、インフレやバブルの芽を放置してしまう中央銀行の方が、信認を失うことになるのではないか。

中央銀行の財務・会計制度にかかわる諸問題を考察した古市・森(2005)は「中央銀行にとって資産の健全性あるいは財務基盤の頑強さが重要であるかどうかは、少なくとも、国ごとにおける中央銀行と政府との関係、政府の財政状況によって大きく異なりうると考えられる」と整理している。

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