前回のコラムで、東南アジアの主要6カ国(インドネシア、タイ、マレーシア、シンガポール、フィリピン、ベトナム)について、それぞれの国の経済発展度に応じて、投資業種を変えるべきとしました。今回は、それぞれの国の投資業種に含まれる数十社の中から、どのように投資対象を絞っていくべきかについて解説します。
今は、海外企業であっても企業のIRサイトを訪れることで、簡単に財務情報を取得することができます。東南アジアに投資をする際に、まず見てもらいたい財務データは、売り上げと営業利益です。
将来の成長力を見極めよう
東南アジア企業投資には、国内企業よりも高い成長と利回りを期待して投資をするわけですから、その企業の成長ポテンシャルを見極めなければなりません。過去5年程度の売り上げと営業利益を調べて、両方とも安定的に成長しているのか見てください。
新興国には売り上げが倍々ゲームで毎年拡大している企業が珍しくありませんが、売り上げと本業からの利益である営業利益の成長ペースの平仄(ひょうそく)が合っているのかが大切になります。
いくら売り上げが急成長していたとしても、営業利益の伸びが売り上げの伸びを下回っている企業は、利益効率の低い領域に事業を拡大している可能性が高く、売り上げの伸びが止まったときに業績が急速に悪化するリスクがあります。売り上げと営業利益ともに年率20%以上で安定的に伸びている企業を探してください。
収益性については、ROEと売上高営業利益率を見てください。ROEは世界中の機関投資家が株式投資を行うときに最重要視する指標です。最低で10%以上、できれば15%以上の企業を探してください。売上高営業利益率も15%以上の企業を探しましょう。