本社19時施錠!三菱化学の働き方革命 ムダな会議やメールも削減、有給取得率8割へ

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――部署によって業務が異なります。特に工場では生産プラントが主体になり、総労働時間を削減するのが難しく思えます。

総労働時間といっても管理職と非管理職では異なるし、部署によって、時期によっても変わってくる。それは当然のことだ。ご指摘の工場だが、プラントは24時間、365日稼働している。したがって工場勤務では4つの班に分かれ、朝・昼・晩を3つの班が担当し、1つの班が休むという体制だ。そういう体制なので誰かが休暇を取得すると他班の者が残業して代務をする必要が生じる。

前川博昭・三菱化学人事部労制グループ グループマネジャー
1988年 三菱油化(現三菱化学)入社。四日市事業所、本社、水島事業所の人事部門を経て、2005年4月 MCC PTA INDIA(インド西ベンガル州)出向。2009年6月 四日市事業所人事グループマネジャー2012年4月 現職。

コスト増にはなるが余裕を持った要員配置により、代務のための残業が極力発生しないように努めている。全工場で5班3交替制に移行するのが当面の課題である。

工場はわかりやすいが、工場以外はわかりにくい。補助業務を担当する者、入社から3年目くらいの者、係長・課長クラスの者それぞれに効率化の余地はあると考えている。

10年前と同じ旧態依然の方法で仕事を進めていないか、今の仕事のやり方がベストなのかをよく見極める必要がある。事業環境が急速にかつ大きく変化し、また、これだけ技術革新が進んでいれば、おのずと仕事の進め方も変わってしかるべきである。

本来、上司が部下の仕事の進め方に注意を払い、効率化を指導、支援すべきだが、忙しすぎてそこまで手が回っていない、という職場も多いのではないかと考えている。

――総労働時間削減で重視している業務は何でしょうか?

あらゆる業務が対象になる。大きなところでは会社の仕組みがある。会社の予算作成プロセスや稟議書による決裁システムの見直しもある。工場や部署ごとのしきたり・慣例も見直しの対象だ。

また日本企業の会議はムダの典型と言われることが多いが、これも効率化する。会議への出席者を絞る、テーマや資料を事前共有しディスカッションの時間を多くする、1時間で結論を出すなどのルールを作っている。

メールも対象だ。たいへんに便利なビジネスツールだが、発信者が関係者全員をccに入れ、受信者が読む必要のないメールを読まされ時間を空費することは多い。またビジネスの基本だが、結論を頭に書くというビジネスルールも徹底している。これらは総務部がマニュアルやマナー集を作り、各部署に配布している。

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