その中で既に製造業がその役割を終え、新しい産業革命とでもいうべきイノベーションをもって米国をはじめ、日本、その他の欧州諸国を追いかけねばならないときに、いちいちEUにその決定を仰いでいれば迅速な決断は不可能で(ご存知の通りそのEUの決定は何事につけ官僚的で極めて遅い)、競争に遅れるばかり、という恐れは十分あります。
さらに言えば、EU離脱がそんなに一大事であるなら、ではEUにもユーロにも参加していないスイスやノルウェーはどうなっていますか? 参加しなかったために経済的に没落し、「北欧のギリシア」になってしまっているのでしょうか?
もちろん違いますね。むしろ欧州の中で問題を抱えているのは移民問題も含めさまざまな問題に直面するEU参加国そのものであって、非参加国+自国通貨保有国は悠々と経済成長を続けているではありませんか?EU不参加によりスイスの金融におけるポジションは没落しましたか?そんなことはない訳でありまして、EUから離脱しただけでイギリスが没落する、というのはナンセンスであります。
高齢者の独善でも、名誉ある孤立でもない
という話も良く出てくるようですが、これも本当でしょうか? むしろ彼ら、若い世代は本当の意味でEUのデメリットを経験していません。これから持つであろう自分たちの子供が病気になった時に多くの移民が殺到する病院で5時間も待たされて、なかなか診てもらえない、という現在の事態に直面し、それでもEUに参加することがメリットなのだ、と主張し続けられるという保証はありません。
むしろ1975年以来、仕事でも生活でも肌身をもって何が起きたかを体験してきた先人のアドバイスは貴重である可能性もあるのです。これはまさに日本でよく言う、「困ったときは村の長老に聞け」、という話でありまして、現時点での即断はできないでしょう。
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