中国で「紙」が大ピンチ。書店が続々倒産中 中国の出版市場で何が起きているのか(上)

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中国の新聞・出版のプリントメディア市場の総売り上げは、公式には約1兆元(約12兆円)とされ、日本の約3倍にあたる。しかも、これまで管轄の新聞・出版総署は、市場は年々成長していると発表してきた。しかし、ここ2、3年のデジタル化の急速な進展で、中国でも紙市場は縮小しているという。

ネット販売に押される書店

先日話を聞いた北京の書店関係者は、中国のリアル書店は日本と同じように売り上げを落とし、店を閉めるところが続出していると言ってい。

「北京では、このところ書店の倒産が相次いでいます。今や大型店は王府井の王府井書店と西単の北京図書大厦だけになりました。中央電視台(CCTV)までもが、国営書店の新華書店を番組で取り上げ、“消費者を引きつける魅力がない”と酷評したくらいです」

今や北京の数少ない大型書店となった王府井書店

北京での書店倒産の走りは、10年1月、民営書店の草分けとして有名な中関村の第三極書店の倒産だった。その後11年になると、北京大学南門近くにあり学生たちに人気があった風入松書店や万聖書園が倒産。11年10月には、北京最大の民営書店チェーンで市内に20数店舗あった光合成書店が倒産している。

中国では情報統制のため、かつては書店も国営の「新華書店」が市場を独占していた。それが改革開放で民間に開放され、1990年代になると、民営の書店がつくられるようになり、2000年代に入ると、アメリカ型のカフェ併設のおしゃれな書店もできるようになった。その代表的書店が、光合成書店だった。

「本をいちばん読むのは学生なのに、北京大学、清華大学の学生に人気があった風入松書店が倒産したのはショックでした。最近の学生は書店で本を買わず、ネットで買います。そのため、当当網(Dangdang)やアマゾンなど、オンライン書店の売り上げは伸びています。北京では、オンラインで注文すれば本が翌日に届きます。海賊版を売っているところもあり、その値段は正規版の3分の1以下。こちらもやはり、翌日に届きます」(前出の書店関係者)

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