「思考のスピードが速い」人の頭の使い方 「推測・意見・事実」を仕分けしよう
たとえばメンバーのAさんが、次のように報告してきたとします。「A商品の売り上げが落ちてきているようです。B商品の売り上げも落ちてくると思うので、早めに何か手を打ったほうがいいと思います」
この提案、あなたはどのように受け止めるでしょうか? 「そうか、まずいな。すぐ手を打とう」と答えたとしたら……。結果的に売り上げ回復まで時間がかかってしまう可能性があります。
まず、「A商品の売り上げが落ちてきている」ですが、これだけでは情報元がわかりません。売り上げデータを見た「事実」として言っているのか、誰かからの伝達情報なのか、現場の感覚論として「意見」を言っているのかがわかりません。
「B商品の売り上げも落ちてくる」という部分も同様に、過去のデータの傾向からA商品とB商品の売り上げに相関関係がある「事実」からそのように「推測」しているのか、ただ単にA商品とB商品が類似品だから心配して「意見」を言っているのかがわかりません。この情報の確かさを確認せずに売り上げアップのための判断をしてはいけません。
事実を正しくインプットすべきなのは、人から話を聞くときだけでなく、資料を読むときや本を読むときも同じです。
間違ったインプットからは間違ったアウトプットしか出ません。こういった報告を、聞いた側がそのまま鵜呑みにして間違った判断をしてしまうことが実は多いのです。
「タテ」「ヨコ」の質問で本質に迫る
インプットする方法のひとつに、「人に聞く」があります。最も手っ取り早く、「生」の情報を手に入れるためには有効です。
しかし、同じ人に同じ時間でヒアリングをしたとしても、質問をする人(質問者)によって驚くほど、得られる情報が異なります。その違いは、質問力のレベルの差から生まれます。
私がかかわったプロジェクトでも、トラブルが起きたときにすぐにリカバリーできるかどうかは、チームをまとめる人が、現場メンバーに対して「よい質問」ができたか否かで大きく異なっていました。「よい質問」ができるということは、「よい結果」が手に入ることと同義なのです。
よい質問とは、言い換えると本質を突き止められる質問のこと。トラブルであれば、根本原因にたどり着けるものです。本質にたどり着くかどうかで仕事の結果は変わってきます。トラブルの表層的な問題に手を打っても効果はなく、根本原因に対して手を打って根絶しないといけません。
では、よい質問をするためのポイントは何なのか? それは2つあります。
ひとつは、「何を知りたいのか?」を明確にすること。質問の目的は何かを知るということです。それがなければ質問は不要です。
質問される立場になると、「何を聞かれているか、意図がさっぱりわからない」という経験をしたことがあると思います。自分が質問をする立場だったら、そうなってはいけません。知りたいこと、明らかにしたいことが明確になっていないときは質問をする意味がありません。
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