時代錯誤な「下請けいじめ」、なぜ減らない? 指導数が過去最多に達した、3つの側面

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なぜ下請けいじめは減らないのだろうか(写真 :Graphs / PIXTA)

発注側と受注側の力関係を背景に、安い値段で作業を請け負わせたり、報酬の支払いを遅らせたりする「下請けいじめ」について、公正取引委員会は6月1日、2015年度に下請法違反で過去最多の5980件の指導したことを発表した。

公取委によると、主な指導事件として、「下請事業者に対し、自社の業務の手伝いを要請し、無償で手伝い要員を派遣させていた」「一方的に下請代金の額を決めた」「自社のサービスを下請事業者に有償で利用させた」などの事例があるという。指導の結果、下請事業者が被った不利益について、親事業者236名から下請事業者7760名に対し、総額13億2622万円が支払われたようだ。

下請法の規制とはどのようなものなのか。なぜ下請けいじめは減らないのか。下請法に詳しい大東泰雄弁護士に聞いた。

「ダメなものはダメ」と割り切って摘発できるのに

当記事は弁護士ドットコムニュース(運営:弁護士ドットコム)の提供記事です

「下請法は、下請事業者の保護を図るため、親事業者に対し、発注書面の交付を義務づけたり、買いたたき・支払遅延・下請代金の減額・返品・協賛金の提供要請・手伝い従業員の派遣など、下請事業者に不当に不利益を与える行為を規制したりしています。

下請法は、形式的な法運用が特徴的となっており、個々の取引の実情をそれほど考慮することなく、『ダメなものはダメ』と割り切った形での摘発ができるような工夫がされています。

これにより、公取委等は、多数の下請法違反を迅速に摘発することができます。重大な下請法違反に対しては、公取委は『勧告』を行い、違反企業名を公表しています」

大東弁護士はこのように述べる。こうしたペナルティが用意されているのに、なぜ下請けいじめは減られないのか。

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