中国式グローバルエリートの育て方 4カ国語をしゃべれるのは当たり前

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また、中国のビジネスリーダー育成のもう1つの特徴は、家族を対象とした経営トレーニングです。

元来仕事には無縁だった配偶者を、ビジネススクールに入れて経営を学ばせているビジネスオーナーは珍しくありませんし、特に子供たちは早くから欧米に留学させ、大学のみならずさらに修士号を取得させて経営ノウハウを学ばせます。彼らもまた将来引き継ぐべきビジネスがあることを自覚していますから、ビジネススクールでの勉強もまさに「自分ゴト」として吸収していくのでしょう。大財閥の御曹司として生まれたエイドリアンは大学入学のためにアメリカに渡ったわけですが、ハーバードに合格しているのが非凡なところです。

エイドリアンに会う前日、私は広東省の汕头(シャントウ、以前日本語で「スワトウ」と呼ばれた刺繍ハンカチの名産地)に本拠地を持つ中国有数の家具メーカー「宜华家具」(イーホワ家具)に赴き、幹部の皆さん約100名にブランド戦略に関する講演を行いました。

大富豪は二代目をどう育てるか

その際にイベントの取りまとめ役としてお世話になったのが、若き二代目の刘壮超(Vincent Liu)さんでした。彼もアメリカのペパーダイン大学に留学した後、北京大学で経営学を学んだ、グローバルに通用する人材です。

家具製造からスタートして木材生産・流通、アメリカの家具小売チェーンとの提携、不動産投資など事業拡張中の同社の経営は、現在創業者夫妻から二代目へのバトンタッチの最中で、Vincentと彼のお兄さんが現場で働きながらその日に備えているのです。

 ブランドセミナーの司会進行や参加した社員への激励、そして私の招宴などを陣頭指揮した彼を半日にわたって観察し、またブランドや経営戦略についていろいろ話しましたが、Vincentは終始謙虚で大富豪の驕りのかけらも見せませんでした。

唯一、最近買ったビジネスジェット(飛行機好きの方なら垂涎のガルフストリームを購入したそうです)の話をしてくれたとき、中国のビジネスオーナーファミリーの勢いを感じたくらいでした。この企業の行く末に注目の価値ありです。

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