景気は後退局面だが、すでに底入れの兆しも 景気・経済観測(日本経済)

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また、9月中旬以降の大規模な反日デモの発生を受けて、日中関係悪化による経済への影響が懸念されていたが、日本経済全体への影響は現時点では限定的にとどまっている。

日中関係の悪化を受けて11月の中国からの訪日外客数は前年比マイナス43.6%となった。大幅な減少であることは確かだが、中国からの旅行収支の受取額がGDPに占める割合はもともと0.1%程度と非常に小さい。

海外経済の持ち直しに伴い輸出は反転増加へ

日本経済への影響が極めて大きい貿易取引をみると、11月の中国向け輸出は前年比マイナス14.5%と大きく落ち込んだ。ただし、中国向けの輸出は中国経済の減速を背景に7月から前年比でマイナス10%前後の減少が続いており、反日デモの激化以降に減少幅が大きく拡大したわけではない。中国における不買運動などが中国向け輸出の減少となって表れるまでにはタイムラグがある可能性もあるため、今後の動向を注視する必要があるが、現時点では日中関係悪化が輸出全体に大きな影響を与えるまでには至っていないと判断される。

欧州債務問題の深刻化、米国の「財政の崖」の問題など、引き続き下振れリスクは高いものの、メインシナリオとしては海外経済の持ち直しに伴い、輸出は12年末にかけて下げ止まり、13年1~3月期には増加に転じると予想している。足もとの輸出の動きを月次ベースで確認すると、内閣府発表の輸出数量指数は低下が続いているが、日本銀行作成の実質輸出(財の輸出入金額を輸出入物価指数で割ることにより実質化したもの)は12年5月から10月まで低下を続けた後、11月は前月比0.3%と小幅ながらも7カ月ぶりに上昇に転じた(上図)。

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