民間も社会的責任持ち生活者支援に取り組め ヤマトホールディングス 木川 眞社長に聞く

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足し算ではなく掛け算

──木川社長が考える、目指すべき物流革命とは。

新たな物流の価値とは、配達の「品質・スピード・コスト」を足し算ではなく、掛け算で達成することだ。つまり、三つのうち一つでもゼロやマイナスがあれば無価値になってしまうわけだ。

11年の大震災で物流のサプライチェーンが途切れ、企業にはコストのかかる分散在庫が必要だといわれた。それが、当日配送が可能になれば、東名阪間については、分散在庫が最低限で間に合うようになる。顧客に対し、従来以上に品質・スピード・コストの面で相乗効果が出るビジネスモデルを提供できる。物流が進化することで、日本企業全体の競争力向上につながっていくわけだ。

──デフレ脱却に対して金融政策への期待感が高まっています。そもそも、景気対策としての金融・財政政策の役割をどのようにお考えですか。

デフレ脱却は日本経済の再生にとって不可欠だが、その際に財政の節度を厳守すべきだ。国債発行は建設国債でも赤字国債でも、国の借金には変わらない。つまり、景気浮揚のための国債発行や日銀法改正をやみくもにアピールすれば、マネーマーケットへの悪影響が出てくる。財政規律が損なわれれば、長期金利もハネ上がってしまう。海外投資家の日本売りが加速してしまうと大変だ。財政規律を考えるなら、国民が納得できる説明をしたうえでの増税も選択肢の一つ。金融・財政政策だけで景気対策を考えるべきではない。

(撮影:今井康一) (週刊東洋経済 2012年12月29日-1月5日 新春合併特大号)

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