「再稼働は皆さんが思うほど簡単じゃない」 原子力規制委・田中委員長に聞く

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最終的に地元の了解をとるのは電力会社と政治家の責任

難しい問題だが、規制委は規制委として独立した科学技術的な判断をする。わからないというのは口癖みたいなもので、わかろうとしていない人にわからせようとしても難しい。今の日本では、原子力に関して自分の考え方以外は受け付けないという人が多い。私たちとしては、わかりやすい資料も用意して説明はする。でも、そのことについて地元の了解が得られるかどうかは関係ない。

――地元が了解しない場合は、あとは事業会社と政治の責任だと。

そうだ。安全か、安全でないか、なぜ安全なのか、なぜダメなのかの説明はするが、あとは自分で勉強してもらうしかない。

――民間保険会社がリスクを引き受けることもできず、廃棄物処理や廃炉などバックエンド対策が高くつく原発のリスクやコストをどう考えるか。

今回のような事故がまた起こるのだったら(原発は)やめたほうがいい。そういうことが起こらないように、私としては最善を尽くしたいと思っている。

――安全基準をつくるうえでどこまでの原発のリスクを想定するのかが問題。たとえば、原発関係者、インサイダーによるテロなどはどうか。

そういうのはみんな想定する。サボタージュみたいなことも想定する。そういうことが起こっても、安全性を保てるような炉にしなければならない。いちばん怖いのは個人のテロではなく、戦争のような脅威だろう。絶対安全とは言わない。言えばまた安全神話になる。しかし、そういうことも含めて対応しなければならないと考えている。

(撮影:今井康一)

たなか・しゅんいち●1945年福島市生まれ。67年、東北大学工学部原子核工学科卒、日本原子力研究所(現・日本原子力研究開発機構)入所。78年、工学博士(東北大学)。2004年、 日本原子力研究所 東海研究所副理事長。06年、日本原子力学会会長。07年、原子力委員会委員長代理。12年9月より現職。
中村 稔 東洋経済 編集委員
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