結婚15年「産まない」選択をどう感じている? 寝室は大事なコミュニケーションの場

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それに香織は女性にとって子供を産むことが義務だとは思っていないし、心から欲しいと思えないのに産むのは失礼ではないかとも考えていた。だからといって自分の意見を誰かに押し付けるつもりはないし、押し付けられたくもない。女性が自立できるようになった環境に、そういった選択肢が増えただけのこと。

その考えを准一も納得してくれて、今日まで一緒にいる。結婚した当初から「香織が側にいてくれればいい」という気持ちは変わらない。子供がいない分、距離ができてしまうかと思えば逆で、お互いに自分たちしかいないという気持ちが仲を深くさせてくれる。喧嘩をしたことはあるが、一緒のベッドに入れば自然と体をくっつけあって寝てしまい、怒っていたことが馬鹿らしくなってしまう。

お互いの休みが合えば海まで車を走らせ、サーフィンをして一日を過ごす。帰りはレストランで食事を済ませ、家に帰ればお気に入りのウイスキーを飲む。そんな日々が幸せなのだ。

仕事は忙しいが、家事はお互いが得意なものを分担し、できないときはしょうがないという気持ちでいる。そういう気持ちに余裕があるからこそ、多少のことには気にならず、家に帰ることが苦痛というストレスもない。

この選択に後悔はない

子供がいればそれはそれで幸せかもしれないが、周りの話を聞けば毎日が戦争で家にいることをストレスに感じるという友人もいる。そんな友人を不幸だとは思わないが、自分とは違う世界だなと一歩下がって見ているのは事実。そういった意味でも、この選択に後悔はない。

「私たちを意地っ張りという人もいますが、そう思われても別に構いません。誰に何を言われても私たちが幸せなことは変わらず、人の目なんて気にしていたら生きにくくなるだけですから。これから10年先に准一と何をするかを考えることが、これからの楽しみです」

◇ ◇ ◇

お互いを尊重する、それが仲のいい夫婦でいることの秘訣だろう。彼女たちは問題にぶつかる度に、きちんと話し合いお互いが納得のいく答えを出している。そして周りの目を気にせず、堂々としている姿にも共感をもてる。子供がいないから“おかしい”ということではなく、子供のいない家庭もあるということを今一度認識してほしいと思った。

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