結婚もM&Aも、「新婚生活」を侮る者はしくじる 「Day1・入籍日」はゴールではなく中間地点だ

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入籍日や結婚式、M&Aで言えば統合日がゴールではありません(写真:louddubclub / PIXTA)
シャープと鴻海の一件しかり、この頃何かと話題の企業買収。実は「結婚」のプロセスに例えると、その構造がすっきり見えてくるのです。プロが教える「男と女とM&A」、最終回は、M&Aプロセスの3つ目である「買収後の統合」を、「新婚生活」と比較して解説していく。
前回記事:「M&Aベタ」の日本企業に欠ける超重要な視点

 

新婚生活でどう振る舞うかが、その後の結婚生活を決める――、これはよく言われる話だ。何事もはじめが肝心。最初に習慣化されたものは継続しやすい。M&Aも同様、「新婚生活」が重要である。

M&A後の統合はPMI(Post Merge Integration)と称されることが一般的だ。またM&Aの世界では、「最終譲渡契約書」の締結日を“Day0”、クロージングした日を“Day1”と呼ぶ。そして“Day100”という統合100日目が、統合スケジュールのマイルストーンとして置かれることが多い。

初期段階における統合推進が「肝」

結婚で例えれば、Day0は婚約日であり、Day1は入籍日といったところだ。M&Aの場合、Day0からDay1までは1~2カ月の期間が空くことが多いが、この期間中に買収企業は「統合プラン」の策定を行う。

入籍日前は、まだ籍を入れたわけではないので、具体的な結婚生活についてあれこれ決められるタイミングではないだろう。M&Aでも同様で、買収企業が一方的に統合後の姿をたたき台として策定してしまうことが多い。

また、この期間に利害関係者への周知も行う。上場企業であれば、基本合意締結の際に情報開示が求められるので、IR活動の一環として利害関係者に情報発信を行うことになる。

そしてついにやってくるDay1からDay100までの100日間。M&Aの世界では、この100日間という初期段階における統合推進が「肝」だと言われることが多い。

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