ホテル買収劇、マリオット「競り勝ち」の裏側 スターウッド買収をめぐり、米中大手が激突

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ウェスティンやシェラトンといったブランドを保有するスターウッド・ホテル&リゾート。同社をめぐっては、米中の大手企業が熾烈な買収合戦を繰り広げた(撮影:今井康一)

熾烈な買収合戦を制したのは、やはり本命企業だった──。

米大手ホテル運営会社のマリオット・インターナショナルは3月中旬、同業の米スターウッド・ホテルズ&リゾートを買収することで合意した、と発表した。

買収金額は136億ドル(約1.5兆円)。業界首位のヒルトン・ワールドワイドを抜き、運営客室数で100万室超という、世界最大のホテルチェーンが誕生する。日本の大手ビジネスホテルでも、5万室程度にとどまることを考えれば、規模が2ケタ違う。

マリオットvs.中国安邦集団

買収合戦を制したのはマリオットだった(写真は森トラストが運営する東京マリオットホテル)

今回の買収合戦が注目を浴びた理由は、その規模もさることながら、マリオットと中国の大手保険会社、安邦保険集団が熾烈な入札競争を繰り広げたことにある。

2015年11月にマリオットがスターウッドの買収計画を発表すると、間髪を入れずに安邦集団が金額を吊り上げる形で参戦。当初、122億ドルだった買収提案額は、両社の引き上げを経て、ようやくマリオットが136億ドルで買収することで決着した。

近年では、アジアや中東などの国際資本は、ホテル業界を安定的で中長期の成長が見込める有望な投資先と見ている。特にスターウッドは売却すれば、15億~20億ドルにも達すると見込まれる多数のホテルを所有していた。

世界の大手ホテルチェーンは、日本の帝国ホテルのように、土地と建物、ホテルの運営会社を三位一体で自社所有するケースは少ない。通常はこうした資産をほとんど所有せず、土地や建物の所有者からホテルの運営委託を受けるビジネスモデルに移行している。この点、スターウッドは大手チェーンとしては、やや異質な存在だった。

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