結婚もM&Aも、「新婚生活」を侮る者はしくじる 「Day1・入籍日」はゴールではなく中間地点だ
ガバナンス方針は、親会社の子会社への期待役割で決まる。そして、子会社への期待役割は、統合後に共に目指す姿で決まるはずだ。
大事なのは、まずは統合後に目指す姿から、両社の間で合意できるガバナンス方針を策定すること、そして、それが機能しないことが発覚した際は都度話し合い、方針を改良していくこと。M&Aも結婚生活も、重要なのは紋切り型に決めたルールではなく、適宜の対話なのではないか。
成功・失敗の分かれ目は「上流工程」にある
ここまで、M&Aプロセスの3つ目である「買収後の統合」を、「新婚生活」になぞらえ解説してきた。結婚もM&Aも一緒になった直後が肝心だ。初期段階で制度や文化的ギャップに対して、どこまで気持ちのベクトルを合わせられるか、それがM&Aの成否に影響することは間違いない。
ただし、第1回目から説明している通り、M&Aの成否は、M&Aプロセスの上流から原因があることに留意したい。
M&Aを成功させるポイントを3つに絞るとすれば、第1に「M&Aの目的を明確にすること」。第2に「ビジネス・デューデリジェンス(BDD)を疎かにしないこと」。そして第3に「統合直後の初期段階でベクトルを合わせておくこと」である。
なお、本連載ではM&Aプロセスに沿って、M&Aの要諦を述べてきたが、私の考えではM&Aプロセスにはまだ先がある。「過去のM&Aをさらに活かすためのプロセス」であり、私はそれを「セカンドPMI」と称している。
セカンドPMIには、M&A後の戦略策定:PMS(Post Merger Stragety)、M&A後の再編:PMR(Post Merger Restructuirng)があり、通常のPMIとは性格が異なるものであるが、それはまた別の機会に解説したい。
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