「M&Aベタ」の日本企業に欠ける超重要な視点 結婚もM&Aも、焦った側が「譲歩する側」に
「なんでこの人と結婚したのだろう」という後悔に続くセリフは、多くの場合「あの時、もっとよく考えてればよかった」だ。そして、若くして結婚してすぐに離婚に至ってしまった人のセリフといえば、「若気の至りだった。あの時は見えていなかった」だろう。
M&Aの世界では、こうならないように、デューデリジェンスという「見極め作業」をしっかり行うことがとても大事だ。前回は、FDDとLDDについて説明したが、今回は、デューデリジェンスの中でも特に重要なBDD(ビジネスデューデリジェンス)を解説したい。
ポテンシャルを正確に把握するためのひと手間
BDDによって見極める内容は大きく2つある。1つ目は「対象企業が単体でこれから稼げるのか」、2つ目は「対象企業を買収することで想定していたM&Aの目的を達成できるか」である。
1つ目を言い換えてしまえば、結婚相手が将来どれぐらい稼げるのかの見極めである。ここでは、「将来」というのがポイントだ。「今」の稼ぎを知りたいならば、直近の年収を調べればいいが、「将来の稼ぎ」のポテンシャルまで試算するにはひと手間かかる。M&Aの世界では、対象企業が策定した事業計画を基に、買収企業が対象企業のポテンシャルを精査することが一般的だ。
また、2つ目を言い換えると、この人と結婚すれば当初思い描いていた人生が送れそうか、つまり、結婚の目的を達成できるかの相性の見極めである。もしも、自分とぴったり相性の合う相手と結婚できたならば、お互いが独りで生きていくよりもさらに充実した人生を送れるだろう。理想の結婚は、1+1が2を超える。
これはM&Aの世界でも同様で、M&Aをすることでシナジー(相乗効果)がなければ、一緒になる意味はない。そして、M&Aは一般的にシナジー創出を企図して行われる。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら