企業買収は「結婚までの道のり」そのものだ 「M&Aありきの経営」が、低レベルすぎる理由

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M&Aの仕組みは、「結婚」にたとえると非常にわかりやすいもの(写真:beer / PIXTA)
シャープと鴻海の一件しかり、この頃何かと話題の企業買収。実は「結婚」のプロセスに例えると、その構造がすっきり見えてくるのです。プロが教える「男と女とM&A」、全5回でお送りします。

 

「自分の仕事はM&Aと関係ない」。そう考えている読者は多いかもしれない。だが、どんな会社に勤める人も、今後M&Aに巻き込まれてしまう可能性は、まったくゼロとは言えない。

2015年の世界のM&A取引額は、英国ディールロジック社によれば、4兆6000億ドルを超え、過去最高額を記録。また、レコフデータによれば、2015年の日本企業が当事者となるM&A件数は2428件で4年連続の増加、金額は15兆7761億円で、前年比の1.68倍だったそうだ。

このように、めまぐるしく変わる競争環境の中、「非連続な成長」を企図したM&Aは、今や重要な経営手法のひとつになっている。

基本がわかれば、自分の「生き残り策」を打てる

かく言う私自身も、所属していた独立系コンサルティング会社が、大手外資コンサル会社に買収されるという経験をした。私は大手よりも中小の組織が性に合っていると考え、意気込んで転職した会社であったものの、図らずもM&Aの渦に巻き込まれ、気づけば大手コンサル会社の一員に成り果ててしまっていた。一介の従業員としては、このM&Aは不本意であり、不可抗力な出来事以外の何物でもなかった。

このように、自分の会社がいつM&Aに巻き込まれるか分からないのが今の時代ではないか。とすれば、これからのビジネスパーソンは誰しもM&Aの「いろは」くらい知っておくべきだろう。基本さえ押さえておけば、いざ自分の会社がM&Aに巻き込まれたとき、その背景や目的を理解しやすい。それだけでなく、これから化会社に何が起きようとしているかを予測できれば、自身が生き残る道もいち早く模索できるはずだ。

実は、M&Aは「結婚」にたとえると誰にでもとらえやすい。M&Aプロセスは、「M&A戦略」「ディール実行」「M&A後の統合」と大きく3つのフェーズに分類されることが多いが、これらのプロセスは、「結婚相手を探し、アプローチし、お付き合いし、結婚し、新婚生活を営むまでのプロセス」と非常に似ているのだ。

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