企業買収は「結婚までの道のり」そのものだ

「M&Aありきの経営」が、低レベルすぎる理由

はじめに、M&Aプロセスの1つ目である「M&A戦略」について考えてみよう。“戦略”と表現すると、「M&Aを進めるにあたっての戦略」ととらえる人がいるが、厳密には違う。

M&A戦略とは、「M&Aを活用した戦略」である。このフェーズで重要なのは、M&Aをどう上手く推し進めるかではなく、ある経営戦略を実現するためにM&Aをどのように上手く活用するか、である。

経営戦略を策定した経験のある方にとっては当たり前に聞こえるだろうが、本来であれば、企業が目指すビジョンがあって、そのビジョンにたどり着くために経営戦略があるはずだ。そして、経営戦略の1つの手段としてM&Aがあるはずなのだ。反対に「M&Aありきの経営戦略」はろくなものがないと断言してもいい。

仕事上、企業の経営層と議論することが多いが、「M&Aがすべてを解決する」という“M&A神話”を持っている人が、いまだに少なくない。M&Aは経営戦略そのものではなく、あくまで「経営戦略の手段」に過ぎないことに留意したい。

「合理的な婚活男子・女子」に置き換えてみよう

さて、「M&A戦略」のフェーズでやるべきことは3つである。1つ目は、経営戦略に基づき、M&Aの目的を明確にすること。2つ目は、M&Aの目的に基づき、対象企業に求める条件を明確にすること。3つ目は、当該条件を満たした対象企業を見つけることである。

何だか初めから堅苦しいと感じたかもしれないが、安心して欲しい。これらやるべきことは、「結婚相手を探す作業」と非常に似ているのだ。とても合理的に物事を考える婚活男子・女子を想像しながら考えてみると分かりやすい。

結婚相手を探すとき、婚活男子・女子は、どのようなことを考えているだろうか。無自覚的かもしれないが、おそらく、「今後どのように生きていきたいか」が念頭にあるのではないだろうか。「今後どのように生きていきたいか」が明確であればあるほど、結婚の目的も明確になる。

女性の場合であれば、いつかは専業主婦として家を支える姿をイメージしているのか、それとも、今後の人生でずっとバリバリ働く姿をイメージしているのか、これらの違いによって、結婚に求めるモノも随分と変わってくるはずだ。前者であれば、いわゆる「生活の安定」を求めているかもしれない。後者であれば、夫婦で仕事も家事も協力して切磋琢磨し合える関係を求めているかもしれない。

次ページ目的によって、対象企業に求める条件は変わる
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カーリング人気萌芽の時代から、平昌五輪での銅メダル獲得まで戦い抜いてきた著者。リーダーとして代表チームを率いつつ、人生の一部としてカーリングを楽しめるにまで至った軌跡や、ママさんカーラーとして子育てで得た学びなどを語る。