千葉銀と武蔵野銀が「生煮え連携」を組む本音 「効果があるのか?」銀行業界で疑問が噴出

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契約締結式に臨んだ、千葉銀行の佐久間頭取(左)と武蔵野銀行の加藤頭取(撮影:梅谷秀司)

「どれだけの効果があるのかよくわからない」。地方銀行幹部の多くが首をかしげているのが、3月25日に発表された、地方銀行4位級(連結総資産ベース)の千葉銀行と同30位級の武蔵野銀行(埼玉県)の包括提携だ。

「千葉・武蔵野アライアンス」という名称の業務・資本提携で、「合併や経営統合によらない新たな地銀連携モデル」(武蔵野銀行の加藤喜久雄頭取)を目指す。具体的には、商品・サービス・ITシステム等の共同開発、人材交流、グループ会社の相互活用などについて検討するという。

資本についても「上限が3%の範囲内で」(千葉銀行の佐久間英利頭取)相互に持ち合う。現在、千葉銀行は武蔵野銀行の株の0.61%を保有しているので、3%まで24億円程度(3月28日終値ベース)、武蔵野銀行も千葉銀行株を現在の0.14%から3%へ140億円程度、買い増しをする方針だ。

自主独立路線の堅持が前提で、「将来を含め、合併や統合については考えていない」と両頭取は語る。経営統合に踏み切らないのは、「(統合することで)コストが一緒に増えてしまうようでは、規模の効果はない」(佐久間頭取)という懸念があることや、「自主独立が地域のお客様のためにはいちばんいい」(加藤頭取)という考え方が背景にある。

「5年で100億円」の効果を見込むが…

しかし、「3%程度の株式持ち合いで、本当に提携効果は出るのか」(関東の地銀幹部)。経営統合や合併をしていないので、決算は両行で別。業績へのコミットメントは、統合・合併行ほどの強さはない。「営業店の現場でどれだけ切羽詰まって目標を達成しようという意識になれるか、疑問だ」(同)。

業務提携について「具体化はこれからだが、すでにさまざまなアイデアが挙がっている」(加藤頭取)という。バックオフィス業務やコールセンターを一緒にすることによる効率化や、相続ニーズに対応した商品・サービスの共同開発、両行の取引先同士のビジネスマッチングなど、真剣に取り組めば効果を出せるテーマもある。だが、それらは実際にどれだけの効果を上げられるのか。

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