あなたの会社にも「ショーンK」は存在する! 経歴詐称はこんな形で行われている
経歴詐称──このワードを聞くと、フミカさん(仮名)はある上司の顔を思い出す。2年前、フミカさんが働くエンジニアリング企業に総務人事部長として中途入社したA男(40代後半)に、会社をめちゃくちゃにされたからだ。
無能部長の前職 実は畑違い
前職も管理部門の部長だったというA男が会社に提出した職務経歴書は、あまりにも簡素なものだった。だが、採用担当者が「キャリアを判別するため」に面接に呼ぶと、A男は雄弁に自身の実績を語り出したという。いわく、人事の制度設計ができる、会社法の知識がある、総会の仕切りができる。役員からの要望にもすべて「できます!」と返す堂々たる姿は、さすが部長経験者に違わぬ貫禄だと、満場一致で入社が決まった。
ところが、フミカさんの上司として現場に着任した日から“悪夢”が始まる。何を聞いても「調べておいて」で終わり。「新卒採用の計画ですが」と相談しても「ああ、やっておいて」。「役員総会? 手配しておいてよ」と一事が万事すべて丸投げ、放任状態なのだ。もちろん部下のマネジメント能力も皆無だった。
「全然、話が違う」
危機感を感じたフミカさんたちは、A男を飲みに誘い、やんわりと前職のことを聞いた。すると、前社ではずっと営業畑で、管理の仕事はその延長で物流や在庫管理を経験しただけということが判明した。この事態を会社も問題視。後日、A男に事情を聴くと、意外にもこう開き直ったという。
「職務経歴書には、そんなキャリアがあるとはどこにも書いていない。虚偽記載ではない」