結婚15年「産まない」選択をどう感じている? 寝室は大事なコミュニケーションの場
しかし、香織にはそういった雰囲気をひとつも感じることがない。彼の話をするときは幸せそうに笑顔を浮かべ、まるで付き合いたてのカップルのような微笑ましさがあった。
「主人の准一とは、子供を作ることを最初から考えていませんでした。お互い仕事が大好きで、俺たちの子供はこの仕事だ! なんて笑って話しています」
香織は化粧品開発の仕事に携わり、年収は700万円弱。そして夫の准一(44)は自営業を営んでおり、2,000万円以上を稼いでいる。普通の家庭より経済的に余裕はあるが、老後のことを考え代々木に中古マンションを購入。4LDKの部屋のうち2部屋の壁をぶち抜き、30平米の寝室を作ったという。
結婚当初から喧嘩をしても必ず一緒に寝ることを約束しているふたりにとって、寝室は大事なコミュニケーションの場。どの部屋よりも居心地をよくすることに徹底した。あとはお互いの書斎を設け、仕事には没頭できるようにしている。いくつになっても仕事は続けたいと思っているだけあって、彼女たちは年齢よりも若々しい印象だ。
ふたりだけで寂しくはないのか? という我々の問いにも胸を張って「ふたりでいれていつも幸せですよ」と話す。お互い大恋愛の末に結婚、というわけではなかったが、不思議な事に時を刻むごとに気持ちはより増しているという。それこそ、子供がいればもっと幸せなのではないかと思うが、二人の決断には理由があったのだ。
逆になぜ産もうと思うのかを話し合った
ふたりが結婚を決めたとき、周りは祝福をするのと同時に「子供の予定は?」と当たり前に聞かれるようになった。子供嫌いではないが、ふたりのままでいいと考えていた香織と准一は、なぜ産むことが必要なのか、きちんと家族を含め話し合いをしたという。
両親は「老後は誰に見てもらうのか?」「仕事はだれが継ぐのか?」とふたりに質問を投げつけてきたが、子供は決してそういうことのために産むものではないと考えていた。老後は今の稼ぎをきちんと貯蓄していけばいいし、准一の会社は何も血縁関係に継がせることはない。彼が認めた相手ならば、誰だっていいのだ。