いるいる!「上から目線な人」のかわし方 やる気を喪失させる難敵に、戦わずして勝つ

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たとえば、あなたの部下が、上から目線の人であれば、「君が頑張ってくれて助かっているよ」「面白い視点を持っているね」などと声かけして、褒めることを中心に育てていくとよいでしょう。

ただ、褒めてばかりではさすがにマズイので、5つ褒めたら1つ注意するなど、ピンポイントでしめることが肝要です。厳しい注意や指示を与えるときは、会社の規則や業績などの客観的データを出すと、相手も承服せざるをえなくなります。

あなたの上司や同僚が、上から目線の人の場合も、「さすが○○さん、すごいですね」「△△君はなんでもよく知っているなぁ」など、適度におだてるとよいでしょう。

上から目線の人の張子のようなプライドは、いずれ厳しい世間の洗礼を浴びて、ズタズタにされます。部下なら育てる必要がありますが、そうでないのなら、あなたが敵役となってわざわざ彼らのプライドを壊す必要はありません。

「嫉妬」や「羨望」が強い彼らのプライドを傷つければ、逆恨みされることもあるでしょう。それだけ、彼らがデキる人や成功している人に対して抱く「嫉妬」や「羨望」という感情は、扱いが難しいのです。

おだてるのはへりくだるようで嫌かもしれませんが、「戦略」は「戦いを略す」と書きます。無駄な戦いは省略し、その分のエネルギーを仕事に回すことは、優れた戦法のひとつです。

心を寄せることで、上から目線の人を味方につける

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さて、ここまで、上から目線の人に対して厳しいことを言ってきましたが、プライドの高い彼らは、そのプライドをくすぐられると、素晴らしい頑張りを見せてくれるというよい一面も持ち合わせています。

「あなたはなんでもよく知っているから」「あなただから、この件をお願いしたいんです」と相手を立てた言い方ができれば、上から目線の人は、あなたのために、気持ちよく動いてくれるでしょう。

そうなれば、いつもは鬱陶しく感じる上から目線の人が、少しは可愛く思えるのではないでしょうか。言い方ひとつで、あなたを引きずりおろそうとしていた相手が、心強い味方になってくれることもあります。

そもそも職場では、誰もが自分の専門分野で、ある程度優位性を示す必要があります。つまりは、知らず知らずのうちに、「上から目線」で周囲の人を威嚇しがちになるのは、職場の特性でもあるのです。

だからこそ、「上から目線の人はキライ」と拒絶するのではなく、「この人もこの場で戦っているのだな」と関心を寄せること。それだけで救われる人がいることや、そうした姿勢を保ち続けることが、やがてはあなた自身を救うことに繋がる。そのことを覚えておきましょう。

西多 昌規 早稲田大学教授 精神科医

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にしだ まさき / Masaki Nishida

東京医科歯科大学医学部卒業。ハーバード大学客員研究員、東京医科歯科大学大学院助教、自治医科大学講師、スタンフォード大学客員講師などを経て、現職。日本精神神経学会精神科専門医、日本睡眠学会専門医、日本老年精神医学会専門医など。専門は睡眠医学、身体運動とメンタルヘルス、アスリートのメンタルケアなど。著書に、『休む技術』『休む技術2』(大和書房)、『悪夢障害』(幻冬舎新書)、『自分の「異常性」に気づかない人たち』(草思社文庫)などがある。

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