実は世の中が不安定なほど、妖怪などの神秘的なものが流行する。長く見れば、戦国時代や幕末に大流行した。最近も経済もそうであるが、日本の政治も不安定であり、妖怪モノが流行する素地はあった。さらにいうと経済学的にも、不安定な政治は経済に悪影響を与えるのである。それは、長期の政策・政治の予想を難しくするために、雇用(採用)や投資など長期的な経営戦略が打てなくなるからである。
しかも、今後導入される可能性の高い経済政策に経済的な効果があまり見られない状況ではなおさらとなる。(円安関係の話は前回の連載『007/スカイフォール―英国ポンドと日本円の共通性と通貨政策―』を読んでいただきたいが)より強い「金融緩和」がどうしても気になる。そもそも金融緩和とは現状維持型の経済政策で、経済そのものを“強化”することはできない。長年やってきて効果が落ちてきて、効かない薬をなぜにもっと飲まなければならないのか。やっているとは思うが、もっと体質改善(産業強化)をしなければならないのではないか。
一方、金融緩和を実施する時には、日本銀行に金融資産を買ってもらいその対価としてお金を市場に供給する。日銀が国債を買うということは、言い方は変えても、日銀が政府にお金を貸すこと(財政ファイナンス)に相違ない。これはさらに野放図な借金志向に向かっていく可能性が高い。また、日銀が購入(保有)している金融資産も株式、CP、社債、ETF(Exchange Traded Funds:上場投資信託)、REIT(Real Estate Investment Trust:不動産投資信託)などリスクの高いものも増えている。世界の中央銀行全般に言えることかもしれないが、巨大なヘッジファンドと化している気がしてならない。
人間も、企業も、国も、借金をして使うことではなくて、自分自身をより改善することを目指すことにどうして向かわないのだろうか。
2012年12月15日(土)全国東宝系ロードショー
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