楽園企業の「ムダを省く力」が超スゴすぎた 「残業からドアノブ、警備員まで」驚きの数々

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少しでもムダかなと思ったら一度やめてみる――それが未来工業の「やめる力」を支える社風だ。その理由を探る前に、同社の「やめる力」を象徴する実例を3つ紹介したい。

少しでも「ムダかな?」と思ったら一度やめてみる

1.「ないほうが便利だから」と、ドアノブを取りはずしてみる

未来工業を訪れた際に、もうひとつ驚いたのは「ドアにドアノブがないこと」。「なぜ、わざわざドアノブをはずすんですか?」と聞くと、山田氏は「両手がふさがっていても、ドアを開け閉めできるようにするためや」と話していた。

確かに私たちは、「ドアにはドアノブがついているのが当たり前」と思いがちだ。しかし、出入りが多い会社のドアは、むしろ「開け閉めするほう」が面倒で非効率ということも多い。

この「ドアノブはずし」は、社員提案が採用されたもの。その是非は別にして、本当に驚くべきなのは、そんな小さなことまで本当に必要かどうかを疑ってみる社員がいるということだ。

2.「ムダだから」と、警備員室はあるのに、警備員を置くのをやめる

冒頭で紹介した「警備員を置くのをやめること」について、もう少し掘り下げておきたい。

「警備員室はあるが、人件費がもったいないから警備員を置くのはやめた。すると、『さすが日本一のドケチ社長』とイメージアップになり、変わった会社やとマスコミに報道されて、広告費まで節約できたから一石三鳥やろ?」と山田氏はニンマリと笑って見せた。

「でも、警備員室がムダでは?」と思う人もいるだろうが、工場付き本社を建設する規模なら、警備員室のコストなど、人件費の節約分でおつりがくる。

3.伝票整理のような「小さなこと」から一度やめてみる

未来工業の「やめる力」は、「残業やホウレンソウ禁止」といった大掛かりなことばかりではない。むしろ、伝票整理のような「小さなことをやめる力」にこそ真骨頂がある。

以前同社では、受注伝票は「会社コードごと」に整理していた。しかし、社員が調べてみると、問い合わせは月数件程度で、数百社のコード別に伝票を整理する手間のほうがムダ、とわかった。

「いまは『受注した日付ごと』に伝票を整理して、社員からも簡単と好評や。何かをやめるには、『別の方法』を考えんといかん。だから面倒くさくて誰もやりたがらないんや」

しかし、いったんやめたあと、「新しい方法」は全部うまくいくのだろうか?

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