ワシントン・ポストに巨額広告が集まるワケ ベゾス流改革が実を結びつつある

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アマゾンのベゾス氏は、約3年前にワシントン・ポストを買収し、多くの変革を監督してきた。また、編集と広告の分野を掛け持ちできるエンジニアリングチームを育て、それがWPブランドスタジオへプラスに働いてきた。

WPブランドスタジオは、編集部門とパブリッシングプラットフォームも共有しており、同じ技術ツールを利用できる。コンテンツプラットフォームの共有により、記事のデザインが容易になっただけでなく、WPブランドスタジオは、共通のターゲティング技術を利用できるので、もっとも関心を持ってくれそうな読者にネイティブ広告が提供される。

ちなみに、ウォールストリート・ジャーナルでは、編集と広告でコンテンツ管理システムを個別に採用している。

チグライクス氏は、WPブランドスタジオが2016年、どれだけの顧客を獲得する見通しか、どれほどの売上を達成しそうか、明らかにしていない。今年と来年で売上が3倍になる見込みで、過去1年間の広告主の数が前年と比べて2倍だったと述べるにとどまった。

プレミアムパブリッシャー

業界団体「デジタル・コンテンツ・ネクスト(DCN)」のCEOであるジェイソン・キント氏によると、コンテンツに関する専門知識をブランドに伝えてくれるプレミアムパブリッシャーは、きわめて貴重な存在だという。「さまざまなプラットフォームすべてに、質の高いコンテンツとストーリーテリングを提供できる企業が何社あるだろうか?」とキント氏は指摘する。

米ケーブル局サイファイの「ハンターズ」用キャンペーンは、約10人が3カ月かけて準備し、2016年4月にスタートした。サイファイがワシントン・ポストを選んだのは、規模が十分大きく、「異星から来たテロリスト」という番組のテーマを示せるからだ、とサイファイのブランドおよび戦略的マーケティング担当シニア・バイス・プレジデントであるサラ・モスコウィッツ氏は語る。

ワシントン・ポストは、フェイスブックとツイッターへの投稿も作成し、この番組をテーマとするコンテンツハブに人々を誘導した。

「規模とふさわしいオーディエンスをもたらしてくれるパートナーを探していた。消費者は、あからさまなマーケティング以上のものを求めているので、消費者のために価値あるコンテンツを制作できる方法がもっと必要だ」(モスコウィッツ氏)

Garett Sloane(原文 / 訳:ガリレオ)

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DIGIDAY[日本版]編集部

2015年9月1日にローンチした「DIGIDAY[日本版]」を運営。同サイトでは米「DIGIDAY」が日々配信する最新のデジタルマーケティング情報をいち早く翻訳して掲載するほか、日本国内の動向についてもオリジナル記事を配信している。メディアジーンが運営

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