《紐育空爆之図(戦争画RETURNS)》には、ゼロ戦がニューヨークを空爆する様子が描かれる。
《ジューサーミキサー》では少女たちが大変なことになっていて、《灰色の山》はスーツ姿のサラリーマンの屍が無数に積み重なり、《滝の絵》ではスクール水着の女の子が画面を埋める。
そんな中、何となくぼんやりとした絵が1枚。展覧会初日に間に合わず、今も会田がコツコツと制作を続ける《ジャンブル・オブ・100フラワーズ》だ。
幅17mを超えるこの大作は、少女たちを標的にしたシューティングゲームのような光景が描かれている。撃たれた少女は倒れず、イチゴやゼリービーンズが飛び散るだけ。ゾンビのような不気味さがある。
「女の子の肉体の部分のピントがこれから合ってくる。時間がかかる作業なので、完成はまだ先」と会田はいう。4ヶ月の会期中に少しずつ完成に近づいていく。
原発がらみのツイートを壁一面に……
この展覧会の準備期間は、原発が問題になった時期に重なった。《モニュメント・フォー・ナッシングⅣ》は、原発関連のツイッターのつぶやきを壁一面に貼りつけた作品。会田はこう語る。
「去年の暮からツイッターを始めたら、原発、放射能に関係する言葉があふれていて。茫然と立ち尽くす感じだった。僕だけじゃなくて多くの日本人が判断停止になったのではと思い、その感じを形にしてみた」
モニュメント、つまり通常は重みのある記念碑を、あえてペラペラのべニヤ板で作っている。
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