やっぱり凄い!体育会運動部員の"就職力"

「負けの経験」で時短就活に勝つ

慶應義塾大学応援指導部出身の近藤雄介さん(24)も、「部活があるから、いまがある」と言う。現在は電通でコピーライターをしている。

応援団の活動は特殊だ。鍛えた体と頭脳は、ひたすら他者を応援するために使う。学生の応援だけでなく、企業のOB会や催しに呼ばれ、ときには海外にも赴きエールを送った。いつの間にか、手もとに集まった名刺は千枚を超えた。OB訪問はすべて、彼らに直接連絡した。

人脈以上に就活に役立ったのが、部活で身についた習慣だ。

「選手や観客と感動を共有するために、どう伝えれば心をつかめるか、常に考えていました」

新しいコールの評判がイマイチで、「ミーハーすぎる」と批判されたこともある。それでも、企画書を書いては周囲にプレゼンした。信念はあった。

「どんな伝統も生まれたときは輝いていたもの。踏襲すべきは形ではなくて思いであり、時代に合った新しい形を生み出していくことが伝統を守る。それが応援指導部の考えでした」

<ビリギャルって言葉がお似合いよ、慶應さん><ハンカチ以来パッとしないわね、早稲田さん>。話題を呼んだ2015年の東京六大学野球の早慶戦ポスターのコピーは、OBとして近藤さんがつくったものだ。

就活後は部活に戻る

運動部員はなぜ就職力が強いのか。就活情報サイト、マイナビの吉本隆男編集長は言う。

「就活の基本は、自己理解と企業研究。体育会出身者は、前者が既にできていることが多い」

マスコミ勤務の運動部出身の女性(36)は、「部活を通じて大人になっているからでは」と分析する。組織の中での自分の役割を自覚し、監督、コーチ、OBら社会人と接する機会も多い。目上の人への礼儀に加え、ときに理不尽と思えることでも耐え忍ぶ力も身についている。

体育会人材のキャリアをサポートするアスリートプランニング広報の日名子裕子さんは言う。

「負けの経験もあり、勝利は努力しなければ手に入らないことを知っている。こうした人材を求める企業は多いと思います」

一方でアルバイト経験などが乏しく、就活で不利になることもある。だが、彼らには就活を早く終わらせたい理由がある。

「多くの運動部で、8、9月には合宿やリーグ戦が始まる。就活を効率よく行い、引退まで部活に集中したいと考える学生が多いんです」

内定をもらったら、部活に戻る。手帳を繰る4年生たちの視線は、すでに「就活後」に向けられていた。

※AERA 2016年6月6日号

(編集部・熊澤志保)

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