やっぱり凄い!体育会運動部員の"就職力" 「負けの経験」で時短就活に勝つ
6月の選考開始が迫り、佳境に入った大学生の就職活動。4年生になっても試合や大会のため練習に励む運動部員たちは、どう戦うのか。
西東京市にある早稲田大学の東伏見キャンパス。「次、ラスト!」「頑張れ!」。テニスコートには、庭球部員の掛け声が飛び交う。正午前、数人がコーチにあいさつをすると、足早に部室棟に戻った。シャワーを浴びてリクルートスーツに着替え、就職活動に向かう4年生だ。
早稲田の庭球部は、男子は11年、女子は10年連続で大学日本一に輝いている。「4年生は部を牽引する存在。今年も日本一を目指す」と渡邉隼ヘッドコーチは力を込める。
部活と就活の両立が必要な4年生にとり、時間的なハンディを補ってくれるのが先輩たちだ。
「就活が始まる前、OBが部室まで来てガイダンスをしてくれました。OB訪問を申し込めば、どの先輩も親身になって応じてくれます」(4年生女子)
あるOGは、試験当日に実力を発揮できるよう気持ちの整え方を教え、事前に駅から面接会場まで同行してくれた。部活で築いた絆が、就活で大きな武器になっている。OBによる模擬面接などの情報は、部員同士のLINEで共有する。
「できない」と言わない
東京農業大学の相撲部でも、4年生の主将以下、部員たちが練習に励んでいた。部員が共同生活を送る合宿所は、年季は入っているが、隅々まで掃除が行き届いている。土俵にはごみ一つない。学年に関係なく、誰もがすぐに拾うからだ。毎日の掃除は全員の当番制。土曜の朝には、部員たちが手分けして大学から駅までごみ拾いをして歩く。
「小さなことでも、地域社会に貢献するという心を持ってほしい」(小松勝彦監督)
相撲部出身で現在は凸版印刷に勤める河野俊志さん(34)は、就活で悩んだとき、当時監督だった安井和男総監督(57)にかけられた言葉が忘れられない。