高すぎる日本のガス調達価格、対策はある 米国シェール革命と日本《6》
――松山泰浩・経済産業省 資源エネルギー庁 石油・天然ガス課長に聞く
米国で急速に進んだシェールガス、シェールオイルの生産本格化による「シェール革命」。日本でも秋田県で国内初のシェールオイル採取に成功したことにより、「シェール」への関心が高まっている。
「米国シェール革命と日本」シリーズ6回目では、日本政府の石油・天然ガス政策を担う経済産業省 資源エネルギー庁の松山泰浩・石油・天然ガス課長に、シェールガスを含めた低廉かつ安定的な天然ガス確保のために、政府としてどう取り組んでいるかについて聞いた。
LNG輸入急増で量と価格のダブルパンチ、産業空洞化も懸念
――東日本大震災後、国内の原子力発電所が順次稼働を停止したことに伴い、代替する火力発電の主力燃料となる液化天然ガス(LNG)の輸入量が急増しています。問題なのは、日本のLNGの調達価格が米国国内価格に比べて5倍前後、液化・輸送費用を勘案しても約2倍と異常に高いことです。こうした状況を政府としてどう考えていますか。
大震災前、全電源に占める原発の割合は3割強だった。それが今はゼロ近く(3%弱)に落ち込んでいる。原発の再稼働については国全体の問題であり、政治判断や世論を踏まえて、その是非が決まっていく話だが、それまでは代替のエネルギーで賄う必要がある。震災前は火力発電が全電源の約6割を占めていたが、今は9割に増えている。中でも比重が大きいのがLNG火力だ。量でいえば、2010年度の7000万トンに対し、今年度は約9000万トンに増える見込みだ。
量だけではなく、価格のパンチもある。日本が輸入するLNGの価格はほぼすべて、JCC(=Japan Crude Cocktail、日本に輸入される原油の月間の加重平均入着〈CIF〉価格)に連動した長期契約で決まっており、原油価格が1バレル当たり100ドルを超す高水準にある近年においては、歴史的に見て非常に高いガス価格になっている。
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