地域再生で語られがちな「絆」に漂う薄ら寒さ

B級グルメやゆるキャラでは活性化しない

常見:そういえば、総合商社マンの仕事を「エビでタイに行く」と例えた人がいました(笑)。総合商社の仕事は貿易と事業投資。別に誰もが世界に行くわけじゃないし、国内での仕事も多い。

飯田:地元経済を活性化することを考えたときに、「たくさん稼いで、その稼ぎをあまり外に漏らさない」ことこそが第一の原理原則になるでしょう。地方を調べ始めたときに気になったのが、なぜか利益よりも集客とか来場者数ばかりが注目されているという現状です。たとえば100万円予算を掛けて90万円売り上げが増えましたって、それはダメなプロジェクトです。

常見:地方創生を語るときに気をつけなければならないのは、「本当にサクセスストーリーなのか」ということです。中には、ちょっとした成功を大げさに取り上げて、盛り上がっていることもあります。まあ、それでみんなが動いて本当に成功しちゃうということもなくはないですが。

B級グルメ、ゆるキャラ

でもB級グルメ、ゆるキャラが典型的で、成功しているふうなだけのものがいくつあります。特にB級グルメは、国外でとれた小麦を売っているだけなのに「地元の高校から東大に進学し、そのまま東京で働いていた飯田の胸には常に地元への想いがあった。東京で出会った焼きそばと、地元の食材を組みわせて何かできないかと考えた。反発もあったが、飯田の想いが役所と、地元の若者を動かした!」みたいな、安っぽい感動ポルノがあって(笑)。Uターンして職員になった上、熱意で説き伏せ、みたいな、どうでもいい物語をウリにせざるを得ないという。

飯田:B級グルメでいいなと思うのは、青森・八戸のせんべい汁ぐらい。

常見:せんべい汁はB級かっていうと、ちょっと前からあったんじゃないでしょうか。

飯田:そうですね。2012年にB-1グランプリを獲得しています。せんべい汁のようなケースであれば、経済的な利益というより郷土料理を紹介するという意味があるでしょう。でも「B級グルメを開発する」という企画に至っては、いったい何のためにやっているのか疑問です。

常見:私はキャラクタービジネスに強い会社に居たのですが、新しいキャラクターを作るのは並大抵ではありませんでした。そこに気づいてほしいですね。

飯田:しかも結局のところ何を目指しているのかわからない。B級グルメグランプリや、ゆるキャラグランプリで優勝したら何かいいことあるのかと。ゆるキャラが流行る理由で思い当たるのは人件費。かぶり物ビジネスってスーツアクターさんの人件費がかなりかかる一方で、プロじゃなく職員やボランティアにかぶらせると表面上はおカネがかかってないように感じられてしまう。

常見:スーツアクターというプロのこだわりは並大抵ではないですからね。キャラクターって何をして何をしないか、という設定が大事なんですよ。ゆるキャラは本当にぐちゃぐちゃで適当になっています。

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