地域再生で語られがちな「絆」に漂う薄ら寒さ

B級グルメやゆるキャラでは活性化しない

常見:昨年、NHK富山支局開局80周年記念番組に出演しました。番組の企画が東京VS富山みたいな対立図式。富山に残っている人・戻っている人VS東京に行った人っていう変な構図でした。「あなたがたは東京と争うなんてことより、まずは金沢と争え」というコメントをしましたが放送されませんでした(笑)。

飯田:富山は「金沢にはかなわない」って思っていそうです。

常見:金沢は富山に脅威を感じていますよ。石川の地元企業の社長たちが「今まで金沢は富山だと思われていたんだよね」と話していて、それぐらいコンプレックスがある。ただ、北陸新幹線のおかげで、石川=金沢だという認識がちゃんと広がった。そういうふうに知名度で困っている自治体はいっぱいある。

10万人前後の小都市が危ない

飯田:実際のところ、町の規模一個一個それぞれに課題があります。東京があり、3大都市または札幌・福岡を足した5大都市があり、次に人口50万~100万前後くらいの中核都市があり、10万人前後の小都市がある。実は階層によって問題の質は違います。もっとも過大なのはどの規模の都市だと思いますか?

常見:いま大丈夫だって思っている10万くらいの都市が危ないでしょう。

飯田:ええ、10万人都市を生かすか殺すかの分かれ道と思います。

常見:10万人だったら、今はそこそこ生きていけるけど、結局は既得権益で足の引っ張りしている。

飯田:意外と元は城下町だったり、以前は20万くらい人がいたりするんですが、本物の田舎じゃないので、そういう売り方もできない。財政面では20万人くらいが効率的だといわれ、合併には一定の合理性はある。ただ、くっついたときに中心市街地は統一できない。メリハリをつけていかないと。さもないと、ただ図体だけ大きくなっていく自治体になってしまう。

常見:今後、政府は地方自治体の統廃合を誘導するでしょうか。

飯田:財政状態がいいところは動かない。銀行合併でもそうなんですけど、合併したがるところは懐事情が悪いところなんですよ。

こうした地域再生にコンサルタントが必要かどうかという話ですが、本当に具体的なアドバイスをする人間は信用できないと思います。個別のコンサルならともかく、全地方に対して、「こういう方法があるんじゃないか」って話は不可能です。

常見:成功事例の自治体を目指すなっていうのがひとつの答えかもしれない。自分なりの成功パターンを考えようよと。

飯田:いろんなことやっていくうちに、まあまあうまくいったものを伸ばし、駄目だったものから早期撤退ってビジョンを持てるかどうか。民間だったら当然持ってきた方法を語れるかってことだと思うんですよね。

常見:ありがとうございました!

馴染むっ!実に馴染むっ!飯田先生の地域再生に関する論は、馴染むぅ!(『ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース』のクライマックスで、ジョセフ・ジョースターの血を吸ったディオ風に読むこと)。
2回にわけてお届けした地方についてとことん語り合う対談、読者諸君はどのように捉えただろうか。ここで議論されたことというのは、別に地域再生に関わっていなくてもヒントになると思う。世の中って、何に効くのか分からないことが礼賛されていることって多くないかっていうことだ。選挙に向け、政治家が言う政策は、社内で議論されている打ち手は、果たしてまともなのかという視点を持って頂きたいのだ。 

 

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