「女子会」ブームの真の理由
「男性向けから女性向けへのシフト」の例で、最も顕著なのが「女子会」です。
女子会は、ここ数年大ブームになり、新語・流行語大賞にもノミネートされるほどの盛り上がりを見せています。実はその背景には、飲食業界を襲った深刻な男性客の減少があったのです。
「サラリーマンのお小遣い調査」と同時に行われている、アフターファイブについての調査では、サラリーマンの飲み代が急激に減っていることが報告されています。
直近では、1カ月に使う飲み代の平均は6943円と、わずか4年で3分の1に減少。1回に使う金額に至っては2860円と、調査を開始して以来、最低の水準に沈んでいます。
最近、飲み物もおつまみも250円均一など、低価格をうたう「激安居酒屋」が増えましたが、その背景にはサラリーマンの飲み代デフレという悲しい現実があったのです。
このように、激減してしまった男性客を代替してくれるという点で、「女子会」は飲食業界にとっては救いの神のような存在でした。勢い、「女子会」誘致に力を入れるのも当然の成り行きだったのです。
耐久消費財を女性が主導して購入する時代は来るのか?
もともと消費性向が高い女性の収入が増えると、一層消費活動が進み、経済の活性化が進むように思われますが、残念ながらそうはうまくはいきません。
女性がメインのユーザーとなっているサービス業やスイーツ、化粧品など、彼女らが主導する市場の商品は、車や家電などの耐久消費財に比べると、経済波及効果が小さいのがその理由です。
車など、男性主導で買われてきた商品を、経済力がついてきた女性が進んで購入するようになれば、問題がなくなるようにも思えます。しかしこれらの商品を女性が進んで購入するようになるかというと、なかなかそうはならないように思います。
理由は性別の違いによる、興味関心事の違いです。
子どもの成長過程を観察しているとわかるのですが、何を教えたわけでもないのに、男の子はいつの間にか車や電車に興味を示すようになります。一方、女の子はおしゃれや料理に興味を示し出し、車や電車には関心を示しません。
むろん、女性でも運転が好きな人はいます。また、特に公共交通機関が発達していない地域に住んでいる場合、車は移動のための生活必需品なので、女性自らハンドルを握るケースは少なくありません。
しかし、軽自動車の一部をはじめ、女性をターゲットに開発された自動車もまったくないわけではありませんが、あくまでもニッチ市場向けの商品にとどまっているのが現実です。
理由は、自動車はあくまで男性向けの商品だという考えを、メーカーが捨て切れないことにもあります。しかし最終的には、やはり車好きの女性の絶対数が男性に比べると圧倒的に少ないことに行き着いてしまうのです。
結局、男性自身が経済力を取り戻し、消費を増やすことが経済の活性化にとって最も早道なのですが、残念ながらその道筋は見えてきません。
むしろ、「男性不況」はさらなる進展が予想されています。今後は経済が一層縮小すると考え、防御策を講じておくのが、われわれ1人ひとりができる最善の策だと言わざるをえないのが現実なのです。
編集協力:王地 築(ライター)
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