長期金利が上がっても、バランスシートには影響しない
次に、「負債の部」の「公債」に関連した話をします。「公債」とは、いわゆる長期の日本国国債のことです。
金利が上昇すると、それに伴って国債の利払いも増えます。例えば、平成24年度の一般会計予算によると、国債の利払い費だけで9兆8000億円も計上されていますが、将来、金利がたった1%上昇しただけで、長期的にはほぼ倍の約20兆円を支払わねばならなくなるのです。
しかし、このように長期金利が上昇して利払いが増えても、国債の残高さえ増えなければ、バランスシートには影響しません。利払い費は、ほぼキャッシュベースである一般会計予算に計上されるのです。
ですから、金利が1%上昇しますと、その分は当然、国家予算を増やさなければならなくなります。つまり、キャッシュの動きを追っていくと影響が表れ、政府の資金繰りは苦しくなることになります。(予算に関しては、別の回で説明したいと考えています)
少し余談になりますが、金利が上昇したとき一番困るのは、国債を大量に保有している国内の金融機関です。1%の金利の上昇で、メガバンク3行だけでも国債の含み損が約2兆円にもなると言われています。ですから、もし金利が上がってしまった場合、政府のバランスシートには影響がありませんが、金融機関などのバランスシートに膨大な損失が計上されてしまうのです。
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