「儲からない体質」から脱せない大手損保 堅調は東京海上のみ

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各グループで正味収入保険料の約5割を占める自動車保険は、新規契約が伸びる中で改善傾向が見られたものの、高齢ドライバーの増加による事故率の高止まりが依然として続いている。

MS&AD、NKSJは統合コストが重荷

NKSJは11月19日付けで、上期決算とともに経営合理化策も発表した。傘下の損害保険ジャパンと日本興亜損害保険の合併時期を14年9月をメドとするととともに、15年度までに約4800人を削減する方針を表明。うち約1600人を希望退職の募集やグループ企業への出向・転籍が占める。すでに9月には400人程度の希望退職者募集を明らかにしている。

NKSJでは合併によるシナジー効果を15年度時点で11年度比約560億円と想定する一方、合併によるコストは12~15年度の累計で約1200億円にのぼるとしており、経営の重荷となっている。

MS&ADは、傘下の三井住友海上火災保険とあいおいニッセイ同和損害保険の統合の形態が決まっていない。MS&ADは12年度連結決算で120億円の黒字を確保するものの、東京海上との収益力格差は歴然としている。経営形態に先駆けて進めているコンピュータシステムの統合コストや人員問題など、直面する問題はNKSJと共通している。

岡田 広行 東洋経済 解説部コラムニスト

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おかだ ひろゆき / Hiroyuki Okada

1966年10月生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。1990年、東洋経済新報社入社。産業部、『会社四季報』編集部、『週刊東洋経済』編集部、企業情報部などを経て、現在、解説部コラムニスト。電力・ガス業界を担当し、エネルギー・環境問題について執筆するほか、2011年3月の東日本大震災発生以来、被災地の取材も続けている。著書に『被災弱者』(岩波新書)

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