反日デモで揺らぐ損保業界の中国戦略

巨額の支払金額発生へ

 

 

中国での反日デモは日本の損害保険会社にも影響を与えている。日本損害保険協会の柄澤康喜会長(三井住友海上火災保険社長)は「個人の感想」と断ったうえで、今回の保険金支払額について「数十億円から100億円ぐらいになる可能性がある」と話している。

国内損保会社では東京海上日動火災保険、三井住友海上、あいおい同和損害保険、損害保険ジャパン、日本興亜損害保険の5社が中国で現地法人を展開する。事業の中心は日系企業向けの火災保険。火災保険は風水災などの自然災害や火災、盗難等によって設備や建物、在庫などに生じた損害を補償する保険で、労働争議、暴動、騒擾による損害は免責事項に該当し、補償はされない。

ただし、「ストライキ、暴動および騒擾(Strike, Riot, Civil Commo−tion)拡張担保特約」(SRCC特約)が付帯された場合は異なる。SRCCに伴う放火などによる損害を除き、契約で定められた限度額の範囲内で補償が行われることになる。

損保業界関係者によれば「中国の日系企業で火災保険に加入した企業の100%近くがSRCC特約を付帯している」という。これには、一般企業のリスク意識の高さに加え、損保側が日本市場の停滞を背景に、積極的に特約とのセット販売を進めたことがある。また中国市場では、現地損保会社間の熾烈な競争が行われ、かつ日系進出企業も日本の損保会社の間で取り合う状態。そのため保険料率の水準が国内市場よりも1~2割低い水準で設定され、一般企業は特約を付帯しやすいという。

火災保険とともに、火災利益保険の支払いもある。火災などで工場設備などが罹災(りさい)した場合、休業中の利益が補償される保険だ。こちらもSRCC特約が付いていれば補償の対象となる。火災利益保険の火災保険に対する加入率は5割前後とみられ、特約の付帯率はまちまちだが「工場設備を保有する大企業は大半が特約を付けている」(関係者)という。

 

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