短期では弱含みだが、中長期は上昇へ 原油価格はどうなるのか

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原油相場を分析するに際して、「2つの目線」と「3つの切り口」で考えてみた。

まず、目線とは、短期か中長期かという時間軸の取り方だ。一方、切り口とは、実需給のファンダメンタルズ、政治・戦略商品としての特性、金融商品(コモディティ)としての側面である。                             

米国の原油生産井

2008年の夏、WTI原油は147ドルまで暴騰し、9月のリーマンショックを挟んで翌年初に30ドル台まで急落、その年末には90ドルまで急回復した。まさにジェットコースターのような激しい相場だったが、リーマン前後以降は大波は来ていない。

欧州債務危機から来る世界的需要減や中東・北アフリカ地域からの供給不安にもかかわらず、1990年代と同様、比較的狭い範囲での値動きが続き、10年以降すでに3年近くになろうとしている。この背景を分析しながら、原油価格の短期見通しと中長期での方向性について考えてみたい。結論からいえば、原油価格見通しは以下になる。

短期(1年内):ブレント原油 90~120ドル WTI原油 75~105ドル

中期(2年超): 上下変動幅を維持しつつ、徐々に切り上がる展開。ただし、ブレントとWTI原油の値差は5~10ドル程度に縮小する。

長期(10年超):35年までの見通しはIEAの最新版WEO(World Energy Outlook) によれば、実質価格ベースで125ドル(OECD平均原油輸入コストベース:インフレ等を考慮しない名目では215ドル)と予測する。

短期の石油需給は弱含みながらバランスする

 まず、世界の原油供給国の雄であるサウジアラビアは、リビアが原油生産を回復するまで、他の湾岸産油国とともに原油を増産し、需要に見合う原油の供給を続けている。OPECは、日量300万バレルの生産余力を保持しながら、 同3000万バレルの原油生産を続けている。

一方、北米に目を向けると、従来の資源パラダイム(枠組み)に大きな変化が起きている。いわゆる「シェール革命」による開発技術の進歩は、頁岩(シェール)層に閉じ込められていた炭化水素を、経済性のある資源として市場に供給し始めた。
IEAは、米国の原油生産見通し(16年)を日量200万バレル上方修正した。石油需要は中国をはじめとするアジア新興国が需要の増加を牽引すると予測されていたが、欧州債務危機がアジアに波及し新興国の経済発展にブレーキをかけた。IEAは世界の石油需要見通しを下方修正した。

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